最終更新日:2024/07/11

相続放棄の失敗事例

母親1人に相続させるはずが他の親族が遺産の権利を主張してきた事例

親が亡くなり、相続人は妻と子供2人でした。父親は持ち家に妻と二人で住んでおり、500万円の預金と父親受取人の生命保険金3000万円が相続財産でした。

子供たちも自立していましたので、話し合いの結果母親(妻)に全部遺産はあげようということになったのですが、その方法がトラブルの原因でした。

子供たちは、母親に遺産を全部あげるために相続放棄の方法をとってしまったのです。

確かに、場合によっては相続放棄をすることで放棄しない他の相続人に全部遺産を相続させることはできます。

今回の場合でいうと、他の相続人が母親一人であれば子供たちは相続放棄してもよかったのです。

しかし、今回の場合にはそうではありませんでした。

父親には兄弟が3人いたのです。

これが大きなトラブルのもとでした。

法定相続人という民法の規定がありますが、相続が発生したときに相続人となれる人は、配偶者(この場合では妻2分の1)と子(この場合では長男と次男)です。

子が全員相続を放棄した場合には、次の候補である親が相続人になり、親が既に亡くなっている場合には最後の候補である兄弟姉妹が相続人となる のです。

この場合には、長男と次男が相続を放棄したことにより、妻と父親の兄弟が相続人となるのです(父親の親はすでに亡くなっています)。

父の兄弟は自分たちが相続人になったことを知ったとたんに遺産分割を要求してきました。

結局、父の兄弟の法定相続分の2000万円を生命保険金からまかなう羽目になってしまいました。

母親のためにわざわざ相続放棄の手続きをとったにも関わらず、全く異なる結果を生じさせてしまいました。

これも専門家に任せずに自分だけで相続放棄ができると判断して行動した結果です。

どんなカタチでも一度は専門家に相談してみると良いと思います。

期限を過ぎてしまった

田中さん(仮名)は、父親の急死により突然の相続問題に直面しました。

父親は多額の借金を抱えており、田中さんは相続放棄を決意しました。

しかし、仕事の忙しさや家庭の事情で手続きが後回しになり、気づけば相続放棄の期限である3ヶ月が過ぎてしまいました。

田中さんは慌てて区役所の法律相談を利用しましたが、期限を過ぎたため、相続放棄は認められないと言われてしまいました。

田中さんは途方に暮れました。

父親の借金を背負うことになり、家計に大きな負担がかかることを考えると、不安と後悔でいっぱいでした。

当窓口が3ヶ月過ぎの相続放棄手続きを提案

それでも諦めきれない田中さんは当窓口の電話相談を利用しました。司法書士は特別な事情があれば家庭裁判所に事情を説明した上で3ヶ月経過後も放棄できる可能性があると説明しました。

数週間後、家庭裁判所からの通知が届きました。田中さんの申し立てが認められ、相続放棄が認められることになりました。

田中さんはほっと胸をなでおろしました。これで父親の借金を背負わずに済むことになり、家族と共に新たなスタートを切ることができました。

結果的には相続放棄が出来ましたが、もう少し早く申し立てをしておけば、不安を抱える事もなく、通常の相続放棄の倍の手数料を支払う事もありませんでした。

口頭で伝えただけで、家庭裁判所への申述申立をしなかった

佐藤さん(仮名)の父親は病気で急死してしまい、プラスの財産は残っていませんでした。

父親は30万円程のキャッシングが残っていましたがおり、佐藤さんは相続放棄を決意しました。家族会議でその旨を伝え、親戚にも口頭で相続放棄の意向を伝えました。

しかし、忙しい日々の中で、正式な手続きを行うことを忘れてしまいました。

数ヶ月後、債権者からの連絡が相次ぎ、佐藤さんは驚きました。

相続放棄をしたはずなのに、なぜ借金の請求が来るのかと疑問に思い、専門家に相談しました。

専門家は、相続放棄は家庭裁判所への申述申立が必要であり、口頭での伝達だけでは法的に認められないと説明しました。

佐藤さんは愕然としました。家族や親戚に伝えたことで安心してしまい、正式な手続きを怠ったことが大きなミスであることに気づきました。

専門家は、特別な事情があれば家庭裁判所に申し立てを行い、期限を延長できる可能性があると助言しましたが、佐藤さんはその特別な事情がないと感じました。

結果として、佐藤さんは父親の借金を相続することになり、家計に大きな負担がかかることになりました。

借金の金額が自力で返せる金額だからまだ良かったものの、数千万、数億円単位だったらと思うと恐ろしい話です。

この経験を通じて、佐藤さんは法的手続きの重要性を痛感し、今後はどんなに忙しくても必要な手続きを怠らないようにと心に誓いました。

※3ヶ月経過後の相続放棄について詳しくはこちらをご覧下さい。

裁判所からの照会書に回答しなかった

山本さん(仮名)は、亡くなった父親が残した借金の多さに驚き相続放棄を決意しました。

相続放棄の手続きを進めるために家庭裁判所に申述書を提出し、安心していました。

しかし、数週間後、家庭裁判所から照会書が送られてきました。

照会書には、相続放棄の理由や詳細な情報を求める質問が記載されていました。山本さんは仕事が忙しく、照会書にすぐに対応する事ができませんでした。

「後でやればいい」と思い、照会書を机の上に置いたままにしてしまいました。

その後、山本さんは照会書の存在を忘れてしまい、回答期限が過ぎてしまいました。

家庭裁判所は、照会書に対する回答がないことを理由に、相続放棄の申述を却下しました。

山本さんのスマホには知らない番号からの着信があったのですが、後で折り返そうと思いそのまま忘れてしまいました。実はその知らない番号は裁判所からの物で、山本さんからいつまでも回答の返事がないので電話をしたのですが、その電話も最後まで繋がらないままでした。

山本さんは大きな驚きとショックを受けました。

相続放棄が認められなかったため、父親の借金を相続することになってしまったのです。

山本さんは、家庭裁判所に再度申述を行うことを試みましたが、一度却下された申述を覆すのは非常に難しいことを知りました。

山本さんは、照会書に早く対応しなかったことを深く後悔しました。

この経験から、山本さんは重要な書類や通知には迅速に対応することの重要性を痛感しました。

単純承認とみなされる行動をしてしまった

山田さん(仮名)の母親が突然亡くなりました。

母親が残した財産には、預金や不動産が含まれていましたが、同時に多額の借金もありました。

山田さんは、相続放棄を検討していましたが、手続きの詳細についてはよく理解していませんでした。

ある日、山田さんは母親の預金口座からお金を引き出し、自分の生活費や借金の返済に使ってしまいました。

山田さんはそのお金を使うことで、相続放棄ができなくなるとは思っていませんでした。

財産を勝手に使うと相続放棄ができなくなる

数週間後、家庭裁判所に相続放棄の申述を行いましたが、すでに相続財産を使用していたため、相続を承認したとみなされ、申述は却下されました。

山田さんは驚きとショックを受けました。相続放棄が認められなかったため、母親の借金を相続することになってしまったのです。

山田さんは、相続財産を使用する前に専門家に相談しなかったことを深く後悔しました。

※相続放棄の前に預貯金を使い込む事に関して詳しくはこちらをご覧ください。

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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