最終更新日:2024/03/14

遺言書の書き方

遺言書の作成には、自筆証書遺言や公正証書遺言といった複数の形式があり、それぞれに法律で定められた厳密な書き方が存在します。

これらの法的な規定を遵守することは、遺言書の有効性を保証する上で極めて重要です。

もし遺言書に書式上の誤りや不備がある場合、その遺言書は法的な効力を失い、無効と判断されることがあります。

このような事態を避けるためには、自筆証書遺言や公正証書遺言を正しく書く方法を理解し、適切に遺言書を作成することが求められます。

ここでは、これらの遺言書の形式ごとの具体的な書き方について説明いたします。

しかし、法的な効力を有する正確な遺言書を作成することがご希望であれば、遺言書作成の専門家である司法書士などに相談することをおすすめいたします。

自筆証書遺言作成のポイント

  • 自筆証書遺言を作成する際には、以下の手順を守ることが求められます。
  •  
  • ① 全文を自筆で記述すること。

  • 遺言書は、遺言者ご自身の手によって書かれる必要があります。これにより、文書が遺言者の真の意志を反映していることが保証されます。
  • ③日付及び氏名も自筆で記述すること

  • これにより、遺言者が誰で、遺言書作成時点での遺言者の意思能力の有無が明確になります。
  • ③ 捺印をすること

  • 認印や拇印でも有効ですが、実印を使用することが推奨されています。実印は、遺言者の正式な印鑑であり、文書の正当性をより強固にします。
  • 自筆遺言の書き方は自由

  • 文書の縦書きや横書きは遺言者の自由に選べ、上記のポイントさえ守れば、使用する用紙にも特に制限はありません。
    また、筆記具についても、ボールペンや万年筆など、どのようなものを使用しても問題ありません。ただし、録音や映像による遺言は無効とされているため、文字による記述が必要です。
  • 誤って記入した箇所がある場合や、内容に追加が必要な時は、該当する部分を明確に指摘し、訂正または追加の旨を記載した上で署名し、訂正または追加した部分には遺言書に押したものと同じ印鑑で押印してください。
  • これらの手順を遵守することで、遺言書が法的な要件を満たし、遺言者の意志が正確に伝えられるようになります。

公正証書遺言の作成方法、流れ

  • (1) 証人2人以上の立会いのもとで、公証役場へ出向きます。
  • (2) 遺言者が遺言の内容を公証人に口述します。
    (聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、または筆談により口述に代えることができます。)
  • (3) 公証人がその口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧してもらいます。
  • (4) 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認したうえで、各自が署名捺印します。
  • (5) 公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記して、これに署名捺印します。
    証人2人以上が立ち会う中で、公証役場にご出向きください。
  • 公証役場に到着したら

  • 公証役場遺言者は、公証人に遺言の内容を口述していただきます。
    聴覚や言語機能に障害がある方は、手話通訳を利用した申述や筆談による口述の代替が可能です。
  • 公証人が遺言者様の口述を筆記し、遺言者様及び証人様に読み上げるか、または閲覧していただきます。
  • 遺言者様および証人様が筆記内容の正確性を確認し、署名と捺印を行っていただきます。
  • 公証人が法律に基づく手続きに従い、証書が作成されたことを記載し、署名と捺印を行います。

証人・立会人ができない人とは?

遺言執行者が証人を務めることは許されていますが、未成年者や推定相続人、受遺者およびその配偶者、直系血族は証人としての資格を有しません。

さらに、公証人の配偶者や四親等以内の親族、書記、使用人も証人となることはできません。

この規定は、遺言の公正さを保つために重要です。

法的な要件を満たすだけじゃない!大事な付言事項

遺言を作成する際には、法的な要件を満たすことが重要ですが、それに加えて、家族へのメッセージや遺言者の心境を反映する付言事項を含めることもできます。

これにより、遺言は単なる法的文書を超え、遺言者の人生観や愛情を伝える手段となります。以下は、遺言に含めることができる付言事項の例です。

  • 家族へのメッセージ

  • 遺言者は、家族や友人への感謝の気持ちや、未来への願いをメッセージとして残すことができます。これは、遺言者がこの世を去った後も、愛する人々に対する思いやりが伝わるようにするためです。

  • 遺産配分の理由

  • 遺言者は、特定の財産を特定の相続人に渡す理由を説明することで、将来的な誤解や紛争を防ぐことができます。これにより、遺言者の意志が明確にされ、相続人間の和解が促進されます。

  • 個人的な願いや指示

  • 遺言者は、自分の葬儀や記念式典に関する願い、または特定の個人的な品物の取り扱いについての指示を残すことができます。これにより、遺言者の意志が尊重され、遺族は遺言者の望む通りに行動することができます。

  • 遺言作成の動機

  • 遺言者は、遺言を作成するに至った動機や心境を述べることで、遺言の背後にある深い感情や考えを伝えることができます。これは、遺言者の人生の最終章を締めくくる重要な部分となります。

自身の思いを伝える大事な役目

これらの付言事項は、遺言者の個性や価値観を反映し、遺言者が生前に大切にしていたことを次世代に伝えるためのものです。法的な効力は持たないかもしれませんが、遺言者の意志や愛情を伝えるためには非常に価値のあるものです。

関連リンク

政府広報:知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方

東京法務局:遺言書を作成するときの注意点

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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