上手な贈与の利用方法
最終更新日:2026/03/27
目次
上手な生前贈与の利用方法を解説
生前贈与は、将来の相続税の負担を減らすだけでなく、ご自身の意思で財産を効果的に分配し、親族間のトラブル(争族)を未然に防ぐために非常に有効な手段です。
贈与税の特例や非課税枠には様々な種類があります。ここでは、上手に生前贈与を利用するための基礎知識と、代表的な活用方法を分かりやすく解説いたします。
生前贈与とは?その主な目的
生前贈与とは、自分が生きているうちに財産を他の人へ無償で分け与えることです。
ご自身の財産を「誰に」「どれくらい」渡すか、自由に管理・決定する権利を行使できるのが最大の特徴です。主に将来の相続税の負担軽減や、特定の家族へ確実に財産を引き継ぐ目的で行われます。
相続と生前贈与、結局どちらが得なの?
相続と生前贈与は、それぞれ異なるルールと税率が適用されるため、「どちらが得か」は財産の種類や金額、ご家族の状況によって全く異なります。
相続全体の9割以上は「非課税」で収まる
大前提として、相続税には基礎控除という大きな非課税枠が用意されています。
• 相続税の基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
国税庁の調査によると、実際に相続税が課税された割合は**全体の9.6%**でした。つまり、10人のうち約9人は基礎控除の枠内に収まり、相続税がかかりません。
そのため、「相続税対策」としての生前贈与が必要になるケースは、ご自身の財産がこの基礎控除額を超えるかどうかが一つの目安となります。
代表的な生前贈与の3つの方法
生前贈与を上手に活用するための、代表的な3つの制度をご紹介します。
1. 一番シンプル!「暦年課税(年間110万円の非課税枠)」
贈与税の基本となるのが暦年課税です。1年間に受け取った財産の合計額から、基礎控除額である110万円を差し引くことができます。
年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかからず、申告手続きも不要です。毎年少しずつ時間をかけて財産を移転するのに適しています。
2. まとまった額を贈与するなら「相続時精算課税制度」
60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子や孫へ贈与する際に選択できる制度です。
原則として累計2,500万円まで贈与税が非課税となり、超えた分に対して一律20%の税金がかかります。
贈与した財産は、将来相続が発生した際に相続財産に足し戻して精算します。
【2024年(令和6年)からの大きな税制改正ポイント】
相続時精算課税制度に、新たに年間110万円の基礎控除が新設されました。
これにより、年間110万円以下の贈与なら申告不要で、将来の相続財産への加算もされなくなりました。
3. 夫婦間の贈与に「贈与税の配偶者控除」
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の不動産(またはそれを取得するための資金)を贈与する場合、基礎控除の110万円とは別に最高2,000万円まで控除できる特例です。
一生に一度しか利用できず、税務署への申告が必須となります。
【目的別】用途を限定した非課税の特例制度
まとまった資金を特定の目的で子や孫へ援助したい場合、以下の非課税特例を活用することで大きな節税効果が得られます。(※各制度には適用期限や所得制限などの条件があります)
住宅取得等資金の贈与の特例
父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へマイホームの購入・新築・増改築のための資金を援助する場合、省エネ等住宅なら最大1,000万円、一般住宅なら最大500万円まで贈与税が非課税になります。
▶ 国税庁:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
教育資金の一括贈与の特例
父母や祖父母から、30歳未満の子や孫へ教育資金(入学金、授業料、塾の費用など)を援助する場合、金融機関を通じて専用の口座を開設するなどの手続きを行うことで、受贈者1人につき最大1,500万円まで贈与税が非課税になります。
▶ 国税庁:直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
結婚・子育て資金の一括贈与の特例
父母や祖父母から、18歳以上50歳未満の子や孫へ結婚や子育て(出産、育児など)に必要な資金を援助する場合、最大1,000万円(うち結婚にかかる費用は300万円)まで贈与税が非課税になります。
▶ 国税庁:直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
生前贈与を行う際の4つの注意点
良かれと思った生前贈与で失敗しないために、以下の4点に注意しましょう。
1. 生前贈与加算(持ち戻し期間)の延長
暦年課税ルールの厳格化により、生前贈与した財産が将来の相続財産に足し戻される(加算される)期間が、2024年の法改正で従来の「相続開始前3年」から「相続開始前7年」へと段階的に延長されました。
延長によってどんな影響がある?
これは、亡くなる直前のいわゆる「駆け込み贈与」による過度な節税を防ぐための措置です。
直前の贈与では相続税の負担軽減効果が薄れてしまうため、元気なうちから計画を立て、これまで以上に「早めに・長期間かけて」対策を始めることが成功の鍵となります。(※延長された4年間の贈与については総額100万円まで加算対象から外れる緩和措置があります)
2. 遺産分割トラブルへの配慮
特定の相続人だけに多額の贈与を行うと、他の相続人の「遺留分(最低限保障された相続分)」を侵害し、親族間のトラブルに発展する恐れがあります。
3. 贈与契約書の作成と記録の保存
税務署からの指摘や「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、贈与の都度、必ず正式な「贈与契約書」を作成し、銀行振込などで客観的な記録を残すことが大切です。
4. 本当に税制上の効果があるかの見極め
相続税には小規模宅地等の特例など、強力な優遇措置があります。生前贈与を急いでも、結果的に「何もしなくても相続税はかからなかった」というケースも少なくありません。
まずは資産状況の把握と専門家への相談を
相続と生前贈与、どちらをどう活用すべきかは、財産の種類、金額、ご家族の状況など多くの要因が複雑に絡み合います。
少しでもご不安や不明な点があれば、ご自身で判断せず、早めに専門家にご相談されることを強くお勧めいたします。
当窓口でも、経験豊富な専門家がお客様の状況に合わせた最適なプランをご提案いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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- 司法書士事務所センス 代表
-
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。
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