最終更新日:2024/07/16

相続不動産の境界問題

相相続した不動産において、境界問題は非常に重要な課題です。

境界が不明確な場合、売却や活用に大きな支障をきたすことがあります。

このページでは相続不動産の境界問題について詳しく解説しますので、ご参考になれば幸いです。

境界問題の原因とは

境界標の不明確さ

境界標が設置されていない、または紛失している場合、どこまでが自分の土地かが分からなくなります。

これにより、隣接地とのトラブルが発生しやすくなります。

隣接所有者との認識の違い

隣接地の所有者と境界についての認識が異なる場合、境界線を巡って争いが生じることがあります。

特に、長期間にわたって境界の確認が行われていない場合に発生しやすい問題です。

測量の不備

過去に行われた測量が不正確であったり、古い測量図が使用されている場合、現在の土地の状況と一致しないことがあります。

これにより、境界線が不明確になることがあります。

境界がはっきりしない場合の4つの対処法

そんなときは以下のような方法で解決できます。

対処法その1 土地家屋調査士に相談する

専門の土地家屋調査士に依頼して、境界確定測量を行うことが重要です。これにより、正確な境界線を明確にすることができます。

土地家屋調査士とは?

土地家屋調査士は、不動産の境界や面積を測量し、登記手続きを行う専門家です。

彼らは、境界問題に関する豊富な知識と経験を持ち、法的な手続きや調停を通じて問題解決を支援します。

土地家屋調査士に相談するメリット

専門的な知識と技術

土地家屋調査士は、正確な測量技術と法的知識を持っており、境界問題を迅速かつ正確に解決することができます。

中立的な立場

土地家屋調査士は中立的な立場で問題を解決するため、隣接地の所有者とのトラブルを円滑に解決することができます。

法的手続きのサポート

境界問題が法的な争いに発展した場合でも、土地家屋調査士は必要な書類の作成や法務局への登記手続きをサポートします。

土地家屋調査士に相談する手順

相談の予約

まず、最寄りの土地家屋調査士会に連絡し、相談の予約を取ります。

※最寄りの土地家屋調査士会はこちらで検索できます。

多くの土地家屋調査士会では、初回の相談を無料で行っています。

現地調査と測量

土地家屋調査士が現地を訪れ、正確な測量を行います。この際、隣接地の所有者にも立ち会ってもらうことで、双方の認識を一致させることが重要です。

境界確認書の作成

測量結果に基づき、境界確認書を作成します。この書類には、境界線の位置や測量結果が詳細に記載されており、隣接地の所有者と共に署名します。

法務局への登記

境界が確定したら、その情報を法務局に登記します。これにより、将来的なトラブルを防ぐ事ができます。

土地家屋調査士に相談することで、不動産の境界問題を迅速かつ正確に解決することができます。


専門的な知識と技術を持つ土地家屋調査士のサポートを受けることで、隣接地とのトラブルを未然に防ぎ、安心して不動産を活用することができます。

境界問題でお困りの際は、ぜひ土地家屋調査士に相談してみてください。

対処法その2 筆界特定制度を利用する

筆界特定制度とは?

筆界特定制度は、法務局が土地の筆界(登記された際の境界線)を特定する制度です。

この制度を利用することで、隣接地の所有者と裁判を行わずに境界を明確にする事ができます。

筆界特定制度のメリット

迅速な解決: 筆界特定制度は、裁判に比べて短期間で境界を明確にすることができます。通常、半年から1年程度で結果が出ます。

低コスト

裁判に比べて費用が少なく済みます。

申請手数料や測量費用はかかりますが、裁判費用に比べて経済的です。

公的な証拠

筆界特定制度による結果は公的な証拠として認められ、将来的なトラブルを防ぐことができます。


筆界特定制度は、相続不動産の境界問題を解決するための有効な手段です。

迅速かつ低コストで境界を明確にすることができるため、隣接地とのトラブルを未然に防ぐ事ができます。

境界問題でお困りの際は、ぜひ筆界特定制度の利用を検討してみてください

対処法その3 裁判所に境界確定の訴えを起こす

どうしても話し合いでは解決出来ない場合は訴訟の手段もあります。

境界確定訴訟とは?

境界確定訴訟は、隣接地の所有者間で境界が不明確な場合に、裁判所が境界を確定するための訴訟です。

この訴訟では、裁判所が客観的な視点から境界線を決定します。

境界確定訴訟の手続き方法

訴状の提出

境界確定訴訟を提起するためには、まず裁判所に訴状を提出します。

訴状には、境界問題の詳細や証拠を記載します。

口頭弁論

裁判所は訴状を受理した後、口頭弁論期日を指定します。原告と被告はそれぞれの主張を述べ、証拠を提出します。

現地見分(検証)

裁判所は必要に応じて現地見分を行い、実際の土地の状況を確認します。

これにより、客観的な境界線を判断するための資料を収集します。

判決

裁判所は提出された証拠や現地見分の結果を基に、境界線を確定する判決を下します。

この判決により、法的に認められた境界線が確定します。

境界確定訴訟のメリット

法的な確定

裁判所の判決により、境界線が法的に確定されるため、将来的なトラブルを防ぐ事ができます。

客観的な判断

裁判所が客観的な視点から境界を判断するため、公平な結果が得られます。

境界確定訴訟のデメリット

時間と費用

境界確定訴訟は、通常2年程度の時間がかかり、測量費用や弁護士費用などが発生します。

和解の難しさ

境界確定訴訟では、和解や調停ができないため、裁判所の判決に従う必要があります。


境界確定訴訟は、不動産の境界問題を法的に解決するための有効な手段です。

時間と費用がかかるものの、裁判所の判決により境界線が確定されるため、将来的なトラブルを防ぐ事ができます。

境界問題でお困りの際は、専門家に相談し、適切な手続きを進める事をお勧めします。

対処法その4 裁判外の調停は土地家屋調査士会で相談

最近では、各県単位の土地家屋調査士会が設置する「裁判外紛争解決手続(ADR)」を利用するケースが増えてきています。

ADR(裁判外紛争解決手続)とは?

ADRは、裁判を経ずに紛争を解決するための手続きで、土地家屋調査士会が運営する「境界問題相談センター」で行われます。

このセンターでは、土地家屋調査士や弁護士が調停人として、当事者間の話し合いをサポートします。

ADRのメリット

迅速な解決

裁判に比べて短期間で解決できるため、時間的な負担が少ないです。

低コスト

裁判に比べて費用が少なく済みます。

申立費用や調停費用は発生しますが、裁判費用に比べて経済的です。

柔軟な対応

当事者同士の話し合いを重視し、柔軟な解決策を見つけることができます。

また、調停人が中立的な立場でサポートするため、公平な解決が期待できます。

ADRの手続き方法

相談と申立て

境界問題が発生した場合、まずは最寄りの土地家屋調査士会の境界問題相談センターに相談します。

申立てが受理されると、調停手続きが開始されます。

事前調査

調停人が登記所や現地での調査を行い、必要な資料を収集します。

これにより、正確な情報に基づいた調停が行われます。

調停期日

調停期日が設定され、当事者双方が出席します。

調停人が双方の主張を聞き、解決策を模索します。

必要に応じて現地調査や測量も行われます。

和解の成立

双方が合意に達した場合、和解契約書が作成されます。この契約書は法的効力を持ち、将来的なトラブルを防ぐ事ができます。


各県単位の土地家屋調査士会が設置するADRは、不動産の境界問題を迅速かつ低コストで解決するための有効な手段です。

裁判に比べて柔軟な対応が可能であり、当事者同士の話し合いを重視するため、公平な解決が期待できます。境界問題でお困りの際は、ぜひ土地家屋調査士会のADRを利用してみてください。

まとめ

相続不動産の境界問題は、放置すると大きなトラブルに発展する可能性があります。

早期に専門家の助けを借りて、正確な境界線を確定し、隣接所有者との協議を行うことが重要です。

これにより、相続不動産を円滑に活用・売却することが可能になります。

いずれにしても、境界問題で困ったことが生じた場合は、相続の専門家に相談して公正な立場で判断してもらいましょう。

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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