最終更新日:2024/03/12

相続時精算課税とは

相続時清算課税制度は、贈与税の一種で60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与に適用される特別な税制です。

この制度を利用すると、贈与者が亡くなった際に、生前に贈与した財産を相続財産に加算して相続税を計算します。

2024年の改正により、この制度における非課税枠が拡大され、より多くの人が利用しやすくなりました。

相続時清算課税制度の概要と2024年の改正点

この制度を選択した場合、贈与者が亡くなった時には、生前に贈与された財産も相続財産に含めて相続税の計算が行われます。

贈与をした財産は、相続財産に含まれ相続税が課税され、贈与税を支払っている場合には、その贈与税額を相続税額から差し引くこととなります。

2024年の改正内容

2024年の税制改正により、相続時清算課税制度における非課税枠が拡大されました。

具体的には、以下のような変更があります。

基礎控除が導入された

年間110万円までの贈与については、贈与税が非課税となりました。

特別控除枠が拡大された

これまでの2500万円までの特別控除に加え、新たに110万円の基礎控除が認められました。そのため、年間110万円までの贈与財産は相続財産に加算する必要がなくなりました。

年間110万円以内の贈与なら申告が不要になった

年間110万円までの贈与税は申告が不要になり、相続税への足し戻しも必要ありません。


参照サイト: 国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

贈与を受ける人の注意点

相続時精算課税制度から暦年課税には戻せない

贈与を受けた人は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に贈与税の申告を行う必要があり、一度選択するとその後は暦年課税に戻ることはできません。

特別控除を受けるには贈与税の期限内申告書を提出する必要がある

相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、額から2,500万円(累計2,500万円に達するまで複数年で控除が可能です)を控除した残額に対して贈与税がかかりますが、贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ、特別控除することができます)。

年間110万円を超える贈与は課税の対象

年間110万円を超える贈与については、累積2500万円を超えると20%の贈与税がかかります。

しかし、相続発生時にはこれらの贈与税が相続税に相殺されるため、最終的な税負担は増えないという点が重要です。

相続時精算課税制度を適用する要件と必要書類

相続時精算課税が適応される条件

財産を贈与した人(贈与者)・・・60歳以上の親

財産の贈与を受けた人(受贈者)・・・・・18歳以上の子である推定相続人及び孫

(注1)年齢は贈与の年の1月1日現在で判定します。
(注2)子が亡くなっている場合、18歳以上の孫を含みます。

必要書類

相続時清算課税制度を選択するためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、相続時精算課税選択届出書と一定の書類を税務署へ提出する必要があります。

相続時精算課税と暦年課税との比較

贈与者の条件

相続時精算課税制度 暦年課税
60歳以上の父母または祖父母 誰でもよい

受贈者の条件

相続時精算課税制度 暦年課税
贈与者の18歳以上の推定相続人や孫(養子を含む) 誰でもよい

基礎控除

相続時精算課税制度 暦年課税
毎年、年間110万円の基礎控除があり、累計2,500万円までの贈与に対して贈与税が非課税です。 毎年、年間110万円の基礎控除がありますが、それを超える贈与には贈与税が課税されます。

税率

相続時精算課税制度 暦年課税
贈与額が累計2,500万円を超えた場合は、超えた額に対して一律20%の贈与税が課税されます。 贈与税の超過累進税率が適用され、10%から55%の範囲で税率が変動します。

相続時の取り扱い

相続時精算課税制度 暦年課税

贈与者が亡くなった時に、生前に贈与した財産は相続財産に加算され、相続税が課税されます。

ただし、2024年の改正により、年間110万円までの贈与は非課税枠内で贈与した分は相続財産に足し戻さなくてもよくなりました。

相続開始までの3年以内に行われた贈与については110万円以内であっても課税対象となるため注意が必要です。2024年には法改正があり相続開始前の課税対象が7年に延長されてしまいましたが、金額は100万円を除いた額だけが課税の対象です。

相続財産として加算された贈与財産に対応する贈与税額がある場合には、相続税額から控除し、控除しきれない部分は切り捨てます。

暦年課税について詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

2024年の改正により、相続時清算課税制度はより利用しやすくなりました。

非課税枠の拡大と手続きの簡素化により、多くの人がこの制度を活用できるようになり、相続税対策の一環として有効に機能することが期待されます。

ただし、制度の適用には条件があり、適切な手続きが必要です。詳細な情報や個々の状況に応じた税務相談は、専門家に相談することをお勧めします。

関連リンク

国税庁 相続時精算課税の選択

国税庁 相続時精算課税選択の特例

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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