相続登記が必要な理由 相続登記の義務化について

最終更新日:2026/10/31

相続登記が必要な理由とは?義務化の期限と放置するリスクを解説

親が亡くなり、実家や土地を相続したものの、「今すぐ住む予定がない」「兄弟で話し合いができていない」「名義変更の費用が気になる」といった理由で、不動産の名義をそのままにしていませんか。

不動産を相続したときに必要となる手続きが、相続登記(不動産の名義変更)です。

2024年4月1日から相続登記が義務化され、過去に相続した不動産も対象となりました。正当な理由なく申請義務を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

特に、2024年4月1日より前に発生した相続で、相続登記をしていない不動産については、原則として2027年3月31日までに申請する必要があります。

この記事では、練馬区で相続手続きをサポートする司法書士の視点から、相続登記が必要な理由、義務化の期限、名義変更を放置するリスク、実務上つまずきやすいポイントについて解説します。

1.相続登記とは?なぜ不動産の名義変更が必要なのか

相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地や建物について、相続によって取得した人へ所有権を移転する登記手続きです。

例えば、父親が亡くなり、父親名義の自宅を長男が相続した場合、法務局で相続登記を申請し、登記簿上の所有者を長男に変更します。

相続によって所有権を取得することと、登記簿に所有者として記録されることは、法律上、区別して考える必要があります。

⚠️相続登記は、単に名義を書き換えるだけの手続きではありません。

理由① 不動産の権利関係を明確にするため

不動産の登記簿には、所有者や権利に関する情報が記録されています。

相続登記を行うことで、誰が不動産を取得したのかを公示でき、将来の売却や担保設定などに向けて権利関係を整理できます。

ただし、登記をしたからといって、あらゆる権利関係の争いがなくなるわけではありません。遺言書の内容や遺産分割協議の有効性など、個別の事情を確認することも大切です。

家族間で「長男が実家を引き継ぐ」と決めていても、その合意に応じた登記手続きが必要です。

理由② 不動産の売却や活用を円滑に進めるため

相続した実家を売却したい場合、通常は相続登記を行い、相続人への名義変更を済ませてから買主への所有権移転登記を進めます。

また、不動産を担保に融資を受けたい場合や、相続人同士で不動産を分ける場合にも、登記名義や権利関係の確認が必要になります。

「いつか売るかもしれない」と考えている方も、早めに名義変更を検討しておくと、いざ売却するときに手続きが滞るリスクを減らせます。

理由③ 相続人同士のトラブルを防ぐため

相続登記をしないまま年月が経過すると、誰がどの不動産を相続するのかが曖昧になり、親族間で認識の違いが生まれることがあります。

さらに、相続人の一人が亡くなると、その人が持っていた相続上の権利が次の世代へ引き継がれ、関係する相続人が増えることがあります。

こうした事態を避けるためにも、相続人と相続財産を確認し、必要な話し合いと登記を早めに進めることが重要です。

理由④ 所有者不明土地の発生を防ぐため

相続登記が長年行われず、登記簿を見ても実際の所有者が分からない土地が増えることは、社会的な問題となっています。

所有者が分からない土地は、売買や土地の有効活用を妨げるだけでなく、公共事業や災害復旧などにも影響を及ぼす可能性があります。

こうした背景から、相続登記の申請が法律上の義務となりました。

2.相続登記の義務化とは?期限と過料を解説

相続登記の申請義務は、2024年4月1日に始まりました。

重要なのは、相続が発生した時期によって期限の考え方が異なることです。

相続登記の基本ルールは「3年以内」

相続人は、相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から、原則として3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

例えば、親が亡くなり、自分が実家を相続したことを知った場合には、その不動産について相続登記の申請義務が生じます。

正当な理由なく申請義務を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

ただし、期限を過ぎたら自動的に過料が科されるという仕組みではありません。

法務局による催告など、法律に定められた手続きが設けられています。

過去に発生した相続も対象になる

「親が亡くなったのは何十年も前だから、義務化の対象ではない」と考えている方は注意が必要です。

相続登記の義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。

施行日前に相続した不動産で、これまで名義変更をしていない場合は、原則として2027年3月31日までに相続登記を申請する必要があります。

ただし、2024年4月以降に不動産を相続したことを知った場合など、具体的な事情によって期限の判断が異なることがあります。

古い相続であっても、まずは不動産の登記名義と相続の経緯を確認しましょう。

遺産分割が成立した場合にも期限がある

相続人同士で話し合い、遺産分割協議によって不動産を取得する人が決まった場合には、原則として遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に応じた相続登記を申請する必要があります。

例えば、相続開始後に相続人全員で話し合い、「実家は長女が相続する」と決めた場合、長女はその合意に基づく登記を申請する必要があります。

相続登記の基本的な義務と、遺産分割成立後の追加的な義務は別のものです。

相続人申告登記だけで、遺産分割成立後の登記義務まで果たせるわけではありません。

3.相続登記を放置するとどうなる?5つのリスク

相続登記を放置することで生じる問題は、過料だけではありません。

将来的に不動産を売却したいと考えたときや、次の相続が発生したときに、手続きが複雑になるおそれがあります。

⚠️リスク① 10万円以下の過料の対象になる

相続登記の申請義務があるにもかかわらず、正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

「相続人同士で話し合いができていない」「手続きが難しくて進められない」という場合でも、何もせずに放置するのは避けましょう。

状況に応じて、相続人申告登記などの制度を利用できるか確認することが大切です。

⚠️リスク② 不動産を売却したいときに手続きが滞る

相続した不動産を売却する場合、通常は亡くなった方から相続人へ名義を変更したうえで、買主への所有権移転登記を行います。

ところが、何年も相続登記を放置していると、必要な戸籍がすぐに集まらなかったり、相続人の所在が分からなかったりして、売却のスケジュールに影響することがあります。

売却を急いでいる場合ほど、早い段階で登記名義と相続関係を確認することが重要です。

⚠️リスク③ 相続人が増え、遺産分割協議が難しくなる

相続人の一人が亡くなり、その人の相続人が新たに関係者となることを、数次相続といいます。

例えば、祖父名義の土地を相続しないまま父親が亡くなると、祖父の相続と父親の相続を整理する必要が生じることがあります。

その結果、当初は兄弟数人で済んだ話し合いが、甥や姪などを含む複数の相続人による話し合いへと広がる場合があります。

相続人が増えるほど、連絡や書類の取得、合意形成に時間がかかる可能性があります。

⚠️リスク④ 他の相続人の債権者との問題が生じる

相続財産の権利関係が整理されていないと、相続人の債務や差押えなどが関係し、問題が複雑になることがあります。

例えば、相続人の一人に借金があり、法的な手続きによってその人の権利が差し押さえの対象となるケースです。

実際にどのような影響が生じるかは、相続の状況や権利関係によって異なります。問題が表面化してから対処するのではなく、早めに相続財産と相続人を整理しておくことが大切です。

リスク⑤ 相続人の判断能力が低下し、手続きが複雑になる

遺産分割協議を行う場合、相続人それぞれが協議の内容を理解し、判断できることが重要です。

相続登記を放置している間に相続人の判断能力が低下すると、状況によっては成年後見制度などの利用を検討しなければならない場合があります。

成年後見制度の利用には、家庭裁判所での手続きや継続的な管理上の負担が生じることもあります。

相続人が元気なうちに話し合いを進め、必要な登記を済ませておくことが、家族の負担を減らすことにつながります。

4.当事務所でよくあるご相談事例と実務上の注意点

相続登記では、法律の知識だけでなく、戸籍や登記簿の確認、相続人への連絡、必要書類の準備など、実務上の対応が重要になります。

ここでは、相続手続きで注意したい典型的な相談例を紹介します。

事例① 亡くなった父の名義のまま、実家を20年以上放置していた

父親が亡くなった後、母親と子どもたちの間で「いずれ長男が実家を継ぐ」という話はあったものの、正式な遺産分割協議や相続登記をしないまま年月が経過したケースです。

その後、母親も亡くなり、実家を売却しようとしたところ、誰が相続人になるのかを改めて確認する必要が生じました。

このような場合、父親の相続だけでなく、母親の相続についても戸籍や財産関係を整理しなければならないことがあります。

実務上のポイント:相続人の調査を最初に行うこと。

不動産の登記簿だけを確認しても、現在の相続人全員が分かるとは限りません。

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを調査し、相続関係を正確に把握することが重要です。

事例② 兄弟間で話し合いがまとまらず、名義変更ができない

親が亡くなり、実家を誰が相続するかについて兄弟間で意見が分かれたケースです。

一人は実家を売却して現金で分けたいと考え、別の一人は思い出のある実家を残したいと希望しています。

このような場合、話し合いがまとまらないまま期限を迎えないよう、相続人申告登記の利用などを検討することが考えられます。

相続人申告登記は、自分が相続人であることなどを法務局に申し出る制度です。一定の要件を満たせば、相続登記の基本的な申請義務を履行できます。

ただし、相続人申告登記をしても、不動産の所有者が確定したり、正式な相続登記が完了したりするわけではありません。

遺産分割が成立した後は、原則として成立日から3年以内に、その内容に基づく登記を行う必要があります。

事例③ 権利証を紛失したため、相続登記ができないと思っていた

親が所有していた不動産の権利証が見つからず、名義変更を諦めていたケースです。

相続登記では、通常、亡くなった方の権利証がないことだけを理由に手続きができなくなるわけではありません。

必要な戸籍や登記簿の情報などを確認し、相続関係を証明する書類を整えることで、申請できる場合があります。

実務上のポイント:権利証がないからといって、最初から諦めないこと。

ただし、登記簿上の住所と戸籍上の情報が一致しない場合など、追加の調査が必要になることもあります。

事例④ 相続税が心配で、名義変更を先延ばしにしていた

「相続登記をすると高額な税金がかかるのではないか」と心配し、手続きを進められなかったケースです。

相続登記の際には、原則として登録免許税がかかります。一方、相続税は、遺産の総額や基礎控除などに基づいて判断される別の税金です。

そのため、相続登記にかかる登録免許税と、相続税は区別して考える必要があります。

登録免許税の計算には固定資産評価額などを用います。

また、一定の要件を満たす土地については、登録免許税の免税措置を利用できる場合があります。

費用が心配な方は、登記に必要な費用と相続税の問題を分けて確認するとよいでしょう。

5.相続登記についてよくある質問

Q.相続登記をしないと、すぐに過料が科されますか?

相続登記の申請義務に違反した場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。ただし、期限を過ぎたら直ちに自動的に科されるわけではなく、法律に定められた手続きがあります。

期限が迫っている場合は、早めに必要な対応を確認しましょう。

Q.相続人同士で話し合いがまとまらない場合はどうすればよいですか?

相続人申告登記を利用することで、一定の要件のもと、相続登記の基本的な申請義務を履行できる場合があります。

ただし、この制度は遺産分割の代わりになるものではありません。話し合いが成立した後は、その内容に応じた相続登記が必要です。

Q.相続登記を司法書士に依頼するメリットは何ですか?

司法書士に依頼することで、戸籍の収集、相続人の調査、登記に必要な書類の作成、法務局への申請などについて、専門的なサポートを受けられます。

特に、古い相続や数次相続、相続人が多いケースでは、最初に相続関係を整理することが重要です。

費用や依頼できる業務の範囲は事務所や案件によって異なるため、事前に確認すると安心です。

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6.練馬区で相続登記にお困りなら、司法書士事務所センスへ

相続登記は、単に不動産の名義を変更するだけの手続きではありません。相続人を確定し、遺言書や遺産分割協議の内容を確認し、将来の売却や次の相続にも備えるための重要な手続きです。

特に、何年も名義変更をしていない不動産や、相続人同士の話し合いが難しいケースでは、早めに現状を把握することが大切です。

司法書士事務所センスでは、相続に関するご相談について、個々の事情を確認しながら必要な手続きの整理をお手伝いします。

  • ✅親や祖父母の名義のままになっている不動産がある
  • ✅2027年3月31日までに何をすればよいか分からない
  • ✅相続人が多く、誰に連絡すべきか分からない
  • ✅戸籍の集め方や遺産分割協議書の作成に不安がある
  • ✅相続した実家の売却を検討している

このようなお悩みがある方は、まずは不動産の所在地や登記名義、相続が発生した時期を整理し、必要な対応を確認しましょう。

相続登記の期限や必要書類は、相続の経緯によって異なります。自己判断で放置せず、状況に応じて司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。

練馬区で相続登記や不動産の名義変更についてお悩みの方は、司法書士事務所センスへご相談ください。

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参考情報

 

この記事を書いた専門家

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。

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