相続税の失敗事例 実際に起こった失敗エピソードをご紹介
最終更新日:2024/08/05
相続税の失敗事例
目次
このページでは過去に実際にあった相続税にまつわる失敗事例をいくつかご紹します。
失敗事例を参考に同じ過ちを繰り返しさないよう注意しましょう。
失敗事例1 土地の地代を支払っていなかったばかりに高額な相続税が発生
夫が亡くなった後、税務署の財産調査により、地下鉄駅近くの一等地に広い土地を所有していたことが判明しました。
その土地には妻名義の賃貸マンションが建っていました。
通常であれば地代の支払いが発生しますが、夫の土地であったため地代の支払いはありませんでした。
いわゆる「使用貸借(無償で土地を貸している)」の状態でした。
しかし、土地を無償で貸していたため、貸宅地とは認められず、数億円の5~6割の評価減を受けることができませんでした。
もし地代を支払っていれば、高額な相続税を支払う必要はなかったのに……。
このケースでは、妻が地代を支払うことで土地の評価額が約半分になり、節税対策になったはずですが、実際には借地契約を結んでおらず、借地料の授受も行っていませんでした。
結果として、相続税の節税対策にはなりませんでした……。
やはり、自分で判断せず、一度専門家に意見を聞く事が重要です。
失敗事例2 何も考えず税理士を指名して失敗してしまった事例
澤田さん(仮名)は、父が亡くなったため、長年お世話になっている顧問税理士に相続税の申告を依頼しました。
父の確定申告を担当してきた税理士であり、財産の状況も把握しているため、最適な判断をしてくれると信じてのことでした。
その後、澤田さんは税理士の指示に従って書類を準備し、その結果、8,000万円の相続税を支払うことになりました。
あまりの高額に驚いた澤田さんは、何かがおかしいのではないかと疑い、学生時代の同級生である税理士の高野さんに相談しました。
高野さんの調査により、土地の評価が非常に大ざっぱで、相続財産が1億円も過大評価されていることが判明しました。
そのため、税務署に「更正の請求」を行い、処理を進めました。
しかし、申告は期限内に行ったものの、納付が遅れたため延滞税が発生し、さらに税理士への報酬も2人分かかってしまいました。
後になって分かった事ですが、その税理士は相続税の専門ではなく、主に法人税や所得税を扱っている税理士でした。
2~3年に1度しか相続税の申告をしておらず、相続に関してはあまり得意ではなかったようです。
結果として、澤田さんは顧問税理士に安易に依頼したことが大きな失敗となってしまいました。
失敗事例3 自分で相続税の申告をやろうとして失敗した事例
川口(仮名)さんは、父親が亡くなった後、相続税の申告を自分で行うことにしました。
父親の財産はそれほど多くないと考えていたため、専門家に依頼する必要はないと思ったのです。
川口さんはインターネットで調べながら申告書を作成し、税務署に提出しました。
しかし、後日税務署から連絡があり、申告内容に誤りがあることが判明しました。
具体的には、父親が所有していた不動産の評価額を大幅に過小評価していたのです。
税務署の指摘により、川口さんは追加の相続税を支払うことになりましたが、納付期限を過ぎていたため、延滞税も発生しました。
さらに、申告内容の修正には多くの時間と労力がかかり、精神的にも大きな負担となりました。
この経験から、川口さんは相続税の申告は専門家に依頼するべきだと大きく痛感しました。
専門家の知識と経験を活用することで、正確な申告ができ、余計なトラブルを避ける事ができるのです。
失敗事例4 利益ばかり優先する税理士を選んでしまった事例
山崎(仮名)さんは、父親が亡くなった後、相続税の申告を行うために、インターネットで見つけた税理士に依頼しました。
その税理士は料金が安く、口コミも良かったため、安心して任せることにしました。
しかし、税理士は忙しく、山崎さんの案件に十分な時間を割くことができませんでした。
その結果、申告書の作成が遅れ、納付期限ギリギリになってしまいました。
さらに、申告内容にも誤りがあり、父親の財産の一部が正しく評価されていませんでした。
税務署からの指摘により、山崎さんは追加の相続税を支払うことになりましたが、納付期限を過ぎていたため、延滞税も発生しました。
さらに、税理士への報酬も無駄になり、再度専門の税理士に依頼することになりました。
売り上げを重視するあまり、自分のキャパシティを超えても依頼を受けてしまう専門家がごく一部いるようですが、大多数の専門家は自分達で処理できる量の仕事しか受けません。
そういう意味で山崎さんはとても不運という他ありませんでした。
失敗事例5 相続税の申告の期限を過ぎたせいで余計な支払いが発生してしまった
田中さん(仮名)は、父親の遺産を相続することになりました。
父親の遺産には、複数の不動産や株式が含まれており、相続税の申告が必要でした。
しかし、田中さんは相続税の申告期限を知らず、申告を怠ってしまいました。
数ヶ月後、税務署から通知が届き、相続税の申告が遅れていることを知りました。
田中さんは慌てて税理士に相談し、申告を行いましたが、期限を過ぎていたため、延滞税や加算税が発生してしまいました。
この失敗から学んだことは、相続税の申告期限をしっかりと把握し、早めに専門家に相談することの重要性です。
また、遺産の評価や申告書の作成には時間がかかるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。
失敗事例6 相続税で配偶者の税額特例をよく理解していなかった事例
岡崎さん(仮名)は、夫の遺産を相続する際に、配偶者の税額軽減の特例を利用しようとしました。
この特例を利用すれば、配偶者が相続する財産に対して一定額まで相続税がかからないため、大きな節税効果が期待できました。
しかし、岡崎さんは特例の適用条件を十分に理解していませんでした。
具体的には、特例を適用するためには、相続税の申告書を提出する必要があることを知らなかったのです。
岡崎さんは、特例が自動的に適用されるものだと思い込み、申告書を提出しませんでした。
その結果、税務署からの通知で初めて申告漏れが発覚し、追加の相続税と罰金を支払うことになりました。
さらに、特例の適用期限を過ぎていたため、特例を利用することもできなくなってしまいました。
このような失敗を避けるためには、相続税の専門家に相談し、正確な情報を得ることが重要です。佐藤さんは、
失敗事例7 不適切な財産評価を受けてしまった事例
佐藤さん(仮名)は父親の遺産を相続する際に、父親が所有していた広い土地の評価を行う必要がありました。
この土地は市街地にあり、将来的に開発される可能性が高い場所でした。
佐藤さんは、土地の評価を不動産業者に依頼しましたが、業者は土地の将来の開発価値を過大評価してしまいました。
その結果、土地の評価額が実際の市場価値よりも大幅に高くなり、佐藤さんは予想以上の相続税を支払うことになりました。
後に、別の専門家に再評価を依頼したところ、実際の市場価値は当初の評価額の半分以下であることが判明しました。
しかし、既に相続税を支払った後であり、税務署に再評価を申請するための手続きも複雑で時間がかかるため、佐藤さんは多額の相続税を取り戻すことができませんでした。
このような失敗を避けるためには、一社だけでなく複数の不動産業者に見積もりを依頼して正確な評価を得ることが重要です。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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