最終更新日:2024/07/05

相続放棄について簡単に解説します

相続放棄とは、相続人が法律上の手続きを通じて、相続権を放棄することを意味します。

相続が開始された後に相続人が行う選択であり、相続財産だけでなく、相続債務からも免れることができます。

相続放棄とは

相続放棄は、相続人が被相続人からの遺産を受け取ることを望まない場合、または相続債務が遺産を上回ると考えられる場合に行われます。

相続放棄をすると、その人は法律上、初めから相続人ではなかったものとして扱われます。

これにより相続財産に対する権利と義務が消滅し、相続債務の責任から解放されます。

なぜ相続放棄をするのか?主な理由は3つ!

相続放棄を行う理由は様々ですが、主に以下のようなケースがあります

債務超過

被相続人の債務が財産を上回る場合。

相続人間の紛争

相続人間で遺産分割に関する紛争がある場合。

個人的な理由

相続人が遺産を受け取ることに個人的な理由で抵抗がある場合。

相続放棄の期限は3ヶ月

相続放棄の手続きは、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。この期間を熟慮期間といい、それが過ぎると相続放棄はできなくなります。

しかし、特別な事情がある場合は期間を延ばすことが可能です。相続財産の調査が終わらない場合や、相続人が相続放棄を決定できない状況などで、期限を延長することができる場合もあります。

相続放棄の期限は延長できる事もある

例えば、亡くなった方に借金も財産も無いので、相続手続きを一切行っていなかったとします。

しかし、亡くなってから半年後に借金の督促状が届き、その時に初めて借金の存在が明るみになったといったケースは多々あります。

そういった場合は、裁判所に借金の存在を知らなかった事を説明すれば期限を伸長できる事もあります。

しかし、3ヶ月過ぎてからの相続放棄ができるかは個々のケースによる事が大きいため、専門家に相談することを強くおすすめします。

相続放棄はどのような方法で行うの?必要書類から申し立てまで

まずは必要書類を揃える

戸籍謄本や住民票など、身元を証明する書類を提出します。

裁判所に提出する書類一覧

相続放棄の申述書

相続放棄を示す書類で、裁判所が公開しているひな形を使用します。

被相続人の住民票除票または戸籍附票

被相続人の死亡時の居住地の役所から取得します。取得から3ヶ月以内の物。

申述人(相続放棄をする方)の戸籍謄本

申述人の現在の戸籍情報を示す書類です。 取得から3ヶ月以内の物。

被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本

被相続人の出生から死亡までの戸籍情報を示す書類です。 取得から3ヶ月以内の物。

申述人1名につき収入印紙800円

相続放棄申述書に貼り付けます。

郵便切手

相続放棄の予納有権(予納郵便切手)は、管轄の家庭裁判所ごとに異なります。事前にwebサイトか電話で確認しておきましょう。

ちなみに東京家庭裁判所における相続放棄の予納有権(予納郵便切手)は、84円切手が4枚と10円切手が4枚(合計376円分)必要です。

家庭裁判所への申立て

相続放棄の意思を家庭裁判所に申し立てます。

家庭裁判所は全国に多数あるため、どこの家庭裁判所で申し立てるか悩まれるかと思いますが、亡くなった方の最後の住所地の管轄の家庭裁判所で申し立てをしましょう。

こちらのページから管轄の裁判所を調べる事ができます。

申立ては、書面で行う必要があり、オンライン申請には対応していません。

申立ての受理

家庭裁判所が相続放棄の申立てを受理すると、相続放棄が成立します。

相続放棄によって得られる効果とは?

相続放棄を行うと、相続人には3つの効果があります。

財産の放棄

相続財産に対する一切の権利を放棄します。

債務の免責

相続債務から解放され、個人の財産を守ることができます。

代襲相続の排除

相続放棄をした人に子がいた場合、その子は代襲相続人として遺産を受け取ることはできません。

代襲相続について詳しくはこちらをご覧ください。

他に相続放棄で注意すべき点とは

相続放棄は期限が3ヶ月とお伝えしましたが、他にも注意する点があります。それは一度行うと撤回することができないという事です。

また、部分的な相続放棄は認められておらず、全ての相続財産に対して行う必要があります。

相続放棄を検討する際には、被相続人の財産と債務の全体像を把握し、慎重に判断することが求められます。

相続放棄が認められなかったケースとは?

裁判所に相続放棄を申請すれば必ずしも認められるとは限りません。

どんなケースが相続放棄が認められなかったのか解説します。

法定単純承認が成立した場合

相続人が相続財産の一部を処分した場合、法律上単純承認したものとみなされることがあります(民法921条)。

法定単純承認が成立すると、遺産を相続することが確定するため、もはや相続放棄はできません。

相続人が法定単純承認に該当する行動をしてしまった場合、相続放棄を検討している方は注意が必要です。

法廷単純承認に該当して相続放棄が出来なくなる事例

  • 被相続人の現金を使い込んだ
  • 預貯金の解約や払い戻しを行った
  • 経済的価値のある遺品を持ち帰った
  • 不動産の名義変更をした
  • 賃貸物件を解約した
  • 自動車を処分した
  • 携帯電話を解約した
  • 債務(借金や税金)を支払った
  • 不動産のリフォームを勝手に行った
  • 遺産分割協議に参加した
  • 相続した株式の名義を変更した
  • 相続した株式の議決権を行使した
  • 遺産を浪費した

法定単純承認に該当するか否かを適切に判断するためには専門知識と経験が必要です。

自己判断せずに、相続に強い専門家に助言をもらいましょう。

書類に不備があった場合

相続放棄の手続きにおいて、書類に不備があると、相続放棄が受理されない原因となることがあります。

書類不備がある場合の失敗例と対処法について解説します。

必要書類の不備

相続放棄を申述する際には、被相続人の住民票除票や戸籍附票、相続放棄者の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本などの必要書類を提出する必要があります。

書類に不備があると、家庭裁判所から追加の書類提出を求められることがあります。

この際、迅速に対応しないと、相続放棄の申述が却下される可能性があります。

照会書への回答不備

相続放棄の申述書を提出後、家庭裁判所から「相続放棄の照会書」が送られてくることがあります。

これは相続放棄の意思や事情を確認するための文書です。 照会書には、相続開始を知った日付や申述が本人の真意に基づくものかなどの質問が含まれています。これに対して適切に回答し、返送しなければなりません。

回答しない場合、申述が却下されることがあります。

期限内に手続きを完了できない

前述の通り、相続放棄の申述は相続の開始を知った日から3カ月以内に行う必要があります。

書類不備によりこの期間内に手続きを完了できない場合、相続放棄ができなくなる可能性があります。

不備がないように専門家に相談を

相続放棄の手続きは複雑であり、書類の不備が原因で失敗することがあります。

そのため、相続放棄を検討している場合は、専門家に相談し、正確な書類を準備し、期限内に適切に手続きを行うことが重要です。

司法書士による相続放棄手続きの流れ

相談風景

相談がスムーズに進むよう、最適なご提案と明確なサポート料金を事前にご提示致します。相続放棄はやり直しが出来ないので、事実関係について専門家が丁寧にヒアリング致します。

書類取得

相続放棄申述に必要な書類を専門的観点から判断し、全て取得いたします。相続人がご自身で取得するのは困難なこともありますが、すべて司法書士が代わりにお取りできます。

作業風景

調査結果や取得書類をもとに、相続放棄申述書を作成します。相続放棄が受理されるための大事な書類なので、専門家が慎重に作業を進めます。

書類提出

正確に作成した相続放棄申述書を、家庭裁判所に提出致します。(3カ月を経過している場合は、上申書もあわせて提出)

書類を書く

相続放棄の要件を満たしているか問う照会書が送られてきます。この回答をきちんと行わないと相続放棄が受理されないので、とても重要です。場合によっては照会がない事や、裁判所で審問手続き(裁判官による質問を受けること)が行われる事があります。

書類受け取り

問題がなければ、約1週間から10日程で家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」という書類が送付されてきます。これで無事に相続放棄が認められたことになります。

当窓口の相続放棄サポート費用

3ヶ月の期限内 相続放棄サポート料金

項目 ライトプラン フルプラン
無料相談 初回のみ 何度でも
戸籍収集 ×
相続放棄申述書の作成
書類提出代行 ×
照会書への回答作成支援 ×
パック特別料金(税抜) 10,000円 30,000円

※ 料金は、相続放棄をなさる相続人1名様あたりの金額です。

※ 当事務所の報酬とは別に印紙代や(除)戸籍謄本取得費用、郵送料等の実費が別途かかります。

※ 第3順位(兄弟姉妹等)の相続放棄の場合は、事案に応じて別途費用がかかります。

※ 相続放棄の期限までの日数に余裕がない場合(期限まで2週間以内の場合、ご兄弟が相続人の場合は1カ月以内)は別途費用がかかります。

3ヶ月の期限を超えた 相続放棄サポート

サービス内容 サポート料金(税抜)
  • 無料相談(何度でも)
  • 戸籍収集
  • 相続放棄申述書の作成
  •  上申書の作成
  • 書類提出代行
  • 照会書への回答作成支援
60,000円

※ 料金は、相続放棄をなさる相続人1名様あたりの金額です。

※ 当事務所の報酬とは別に印紙代や(除)戸籍謄本取得費用、郵送料等の実費が別途かかります。

※ 相続放棄の期限までの日数に余裕がない場合(期限まで2週間以内の場合、ご兄弟が相続人の場合は1カ月以内)は別途費用がかかります。

相続放棄のオプション料金

オプション内容 サポート料金(税抜)
受理証明書の取り寄せ 10,000円(税抜)
債権者とのやり取りを代行 10,000円(税抜)
債権者への通知サービス 10,000円(税抜)
親戚への相続放棄「まごころ」通知サービス 10,000円(税抜)

※こちらは4カ所又は4名までの料金です

まとめ

相続放棄は、相続人が遺産を受け取りたくない、または相続債務を負いたくない場合に有効な手段です。

しかし、相続放棄には重大な法的効果が伴うため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

相続放棄を行う前には、被相続人の財産と債務の状況を正確に把握し、相続人全員で十分な話し合いを行うことが望ましいでしょう。

相続放棄は、相続人の財産保護という観点からも、適切な手続きを踏むことが求められる重要な選択肢です。

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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