最終更新日:2024/03/11

事業の継続性を確保できる自社株式の承継

自社株式の承継対策は、事業の継続性を確保し、経営権の安定を図るために重要な対策です。

具体的な方法としては、売買、生前贈与、相続があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

税負担の軽減やトラブルを避けるためには、早期から計画を立て、適切な評価方法を選択し、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

経営者が事業承継で最も心配な相続税

経営者が事業承継に際して最も心配する事は相続税の対策です。

特に日本のような中小企業が多い国では、非上場企業の株式評価が重要であり、その評価は複雑です。

非上場株式は市場価格がないため、相続税や贈与税の計算で特別な評価方法があるのですが、主な評価方法は以下の通りです。

非上場株式の評価方法

非上場株式の評価は、市場価格がないため、国税庁が定める基準に基づいて行われます。

主に、純資産価額方式類似業種比準価額方式、そして配当還元方式の3つの方法があり、会社の規模や株主の属性に応じて適用されます。

これにより、相続税や贈与税の計算に必要な株価が決定されます。

非上場株式の3つの評価方法

  • 純資産価額方式

  • 企業のストックとしての純資産に着目して、企業の価値及び株価を算定評価する方法です
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  • 類似業種比準価額方式

  • 類似業種の平均株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額の3つの要素を類似業種と比準して計算する方法です。
  • 類似業種の詳細なデータは国税庁のウェブサイトで確認できます。
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  • 配当還元方式

  • 過去2年間の配当金額を10%の利率で還元して、元本である株式の価額を求めようとする方式で、一種の収益還元方式といえます。

参考サイト:国税庁No.4638 取引相場のない株式の評価

評価方法は会社の規模によって異なる

これらの評価方法は、会社の規模(資産総額・従業員数・売上高等)によって、以下のように変わります。

大会社(従業員数70人以上で該当する可能性あり)

通常、大会社の株式評価は類似業種比準方式を採用します。

 

小会社(従業員数5人以下で該当する可能性あり)

小会社の株式は基本的に純資産価額方式で評価されます。

中会社(従業員数6人以上で該当する可能性あり)

中会社の非上場株式の評価は、類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせて使用します。

この併用割合は、会社の規模に応じて異なります。

例えば、大会社に近い中会社では類似業種比準方式の割合が高く設定され、小会社に近い中会社では純資産価額方式の割合が高くなります。

効果的な対策を行いましょう

今後のことを考えた後継者への引継ぎ

長い視点で見た場合、株式や不動産を事前に後継者へ贈与したり、第三者への売却を行うなどの長期的効果が期待できる対策が大切です。

経営者が保有する株式や不動産は、将来の事業の継承を見越して、後継者に集約し、スムーズに移行させることが必要です。

不動産に関しては、名義を経営者から会社や後継者へ変更することが必要です。

もしくは、親族や後継者へ不動産を売却しながら、小規模宅地等の特例を使って節税する方法もあります。

親族と納得し合える事が重要

どんな形で承継するにしても、引き継がれる財産について相続人である仕業や家族間での合意を得る事が大前提です。

このプロセスをおろそかにすると、企業の運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

したがって、法律面、税金面、経営面で専門家に相談をするのが望ましいでしょう。

 

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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