最終更新日:2024/03/12

暦年贈与と連年贈与とは?

このページでは暦年贈与と連年贈与について詳しく解説します。

暦年贈与とは

暦年贈与とは、1年間に贈与税の基礎控除額110万円を超えない範囲で行われる贈与の事です。

この制度は、贈与者が受贈者に対して毎年一定額まで贈与することができ、その額内であれば贈与税が課されません。

これにより、資産の移転を少しずつ行うことが可能となり、相続税の負担を軽減することができます。

数ある贈与の中で最もシンプルな方法といえます。

 

連年贈与とは

一方、連年贈与は、特定の条件下で複数年にわたって行われる贈与のことを言います。

例えば、教育資金や結婚資金など、一定の目的に限定された贈与がこれに該当します。

連年贈与には、特別な控除額が設けられており、これを利用することで大きな贈与を行っても贈与税の負担を抑えることができます。

連年贈与の特別な控除額とは、相続時精算課税制度を選択した場合に適用される控除のことです。

この制度では、贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から、最高2,500万円の特別控除額を差し引いた残額に対して贈与税がかかります。

相続時精算課税制度について詳しくはこちら

暦年贈与と連年贈与どちらが節税になる?ケース別にご紹介

贈与を行う際にはその目的や状況に応じて暦年贈与と連年贈与のどちらを利用するかを検討する事が重要です。

特定の条件別に、どちらがより節税になるのか検証してきましょう。

歴年贈与の方がお得なパターン 

小規模な贈与を長期にわたって行う場合

暦年贈与は、毎年110万円までの贈与が非課税となるため、小規模な贈与を長期にわたって行うことで、贈与税を発生させずに資産移転が可能です。

例えば、1000万円を10年かけて毎年100万円ずつ贈与すると、贈与税は0円です

相続税対策として利用する場合

贈与者の財産を減らしていくことで、将来の相続税の節税に繋がります。

生前に計画的な贈与を行うことで、相続発生時の税負担を軽減できます。

世代を飛ばして孫への贈与を行う場合

暦年贈与を利用することで、子ではなく孫へ直接財産を移転することができ、世代を超えた資産計画が可能になります。

相続争いを未然に防ぎたい場合

生前に財産分割を行うことで、相続時の争いを防ぐことができます年贈与を通じて、財産の一部を事前に分配することが可能です。

連年贈与とみなされないためには

先述のように、ある程度年数をかけて贈与をしていく場合、連年贈与認定を避けるようにしなければなりません。

そのためには下記のことを注意して、進める必要があります。

贈与契約書の作成

毎回贈与を行う度に贈与契約書を作成し、それぞれの贈与が独立したものであることを明確にします。

これにより、定期贈与とみなされるリスクを減らすことができます。

贈与税の申告を行う:

基礎控除額110万円を少し超える贈与を行い、贈与税を申告することで、贈与が計画的でないことを示す証拠の記録を残すことができます。必ず贈与を受ける方ご本人の口座に振り込んで下さい。

これは、贈与が1回ごとのものであることを税務署に示すためにも有効な手段です。

時期や金額を変えて行う

毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、定期贈与とみなされる可能性が高くなります。

そのため、贈与の時期や金額、財産の種類を変えることで、それぞれの贈与が独立したものであることを強調すことができます。

連年贈与の方がお得なパターン

大きな金額を一定期間内に贈与したい場合

連年贈与の特別控除を利用することで、最高2500万円までの贈与が非課税となります。

相続税の負担を軽減しながら、一定の期間内に大きな資産を移転することができます。

特定の条件を満たす贈与を行う場合

住宅取得資金の贈与や、生命保険契約の贈与など、特定の条件を満たす場合には、連年贈与の特別控除が適用されることがあります。

暦年贈与が2024年の法改正で変わりました

生前贈与の加算対象期間が7年に延長されてしまいました

2024年度から施行された贈与税法の改正により、暦年贈与の加算対象期間が相続開始前3年から7年に延長されました。

これにより相続時に持ち戻される贈与財産の期間が長くなり、相続税の計算における生前贈与の影響が大きくなります。

暦年贈与の加算対象期間の延長 この改正の主なポイントを解説!

改正前

相続開始前3年以内の贈与は、相続財産に加算される。

この期間に行われた贈与は、相続税の課税価格に影響を与える。

改正後

相続開始前7年以内の贈与が、相続財産に加算されるようになる。

ただし、相続開始前4年から7年の間に行われた贈与については、総額100万円までが加算されないという新しい規定が設けられました。

加算対象期間の変更の意図

生前贈与加算の期間を延長することで、相続税の基礎となる財産額が増加し、結果的に相続税額が増加する可能性があります。
この変更は、過度な節税対策を防ぐためと若い世代への資産移転を促進するために行われました。相続税と贈与税の一体化を進めるための措置の一環でもあるようです。

施行時期

2024年1月1日以降に行われた贈与から新しい加算対象期間(7年)が適用されます。

2031年1月1日以降に相続が開始された場合、その前7年間の贈与が完全に加算されます。

この改正により、相続税の計画を立てる際には、より長い期間を見据えた対策が必要になります。税制改正の詳細や個々のケースに応じた適用については、専門家に相談することをお勧めします。

参考リンク: 国税庁 PDFチラシ

 

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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