死後事務委任契約とは

最終更新日:2026/03/23

死後事務委任契約とは?遺言や後見制度との違いを司法書士が徹底解説

「自分が死んだ後、お葬式やお墓の手続きは誰がやってくれるのだろう?」

「賃貸アパートの引き払いや、遺品の片付けで遠くの親戚に迷惑をかけたくない」

「スマホやパソコンの中身(デジタル遺品)を確実にお金と一緒に処分してほしい」

このような「死後の身辺整理」に関するご相談が、当事務所(練馬 相続遺言の相談窓口)に急増しています。

核家族化が進み、親族がいない方や疎遠な方にとって、ご自身の希望通りに人生の幕引きを行うための最強の備えが死後事務委任(しごじむいにん)契約です。

1. 死後事務委任契約とは?(どんな契約?)

死後事務委任契約とは、個人が亡くなった後に必要となる様々な事務手続き(葬儀の手配、遺品整理、未払い料金の清算、行政サービスの解約など)を、お元気なうちに第三者(司法書士などの専門家)に委任しておく契約のことです。

生前に「どんな葬儀を行いたいのか」「散骨をしてほしい」といった要望を契約書に明記し、実際に葬送を行う人々との話し合いや事前の準備(預託金のお預かりなど)をきちんとしておくことで、死後のトラブルを防ぎ、スムーズに事務を進めることができます。

どんな人が利用するべきか

死後事務委任契約は、以下のような状況の方々に強く推奨します。

✅ 頼れる親族がいない、または親族と疎遠で頼れない方(おひとりさま)

✅ 高齢の家族や、遠方の親族に迷惑・負担をかけたくない方

✅ 内縁関係や事実婚、同性パートナーの方(※法的な親族ではないため、死後の手続きを拒否されるケースを防ぐため)

✅ 家族と埋葬方法などについて希望が異なる方

2. 死後事務委任契約で「依頼できること」の具体例

依頼者の意向に沿った形で事務を進めるため、具体的な依頼内容を契約書に細かく明記します。

一般的には以下のような事務全般をカバーします。

1. 葬儀や埋葬(納骨・散骨)の手配と手続き

2. 医療費や介護施設費用など、未払い料金の清算

3. 行政手続きの対応(健康保険証や年金手帳の返納など)

4. 親族など関係者(ご友人や勤め先)への連絡

5. 遺品整理、家財道具や生活用品の処分、賃貸住宅の明け渡し

6. デジタル遺品(パソコンやスマホのデータ消去、SNSの退会)の処理

7. 残されるペットの世話・引き渡し

 

3. 【⚠️重要】遺言や見守り契約、後見制度との違い

多くの方が「遺言書を書いておけば、死後のことはすべて専門家がやってくれる」と誤解されていますが、実はそれぞれの制度には明確な限界(できないこと)があります。

遺言書との違い(法的強制力について)

遺言書は「相続分の指定」や「遺産分割方法」など、主に財産(お金)の行き先を決める法的なツールです。

遺言書の中で「葬儀は家族葬にしてほしい」「遺品を片付けてほしい」と希望を書く(付言事項)方もいらっしゃいますが、遺言にはそのような事務手続きを強制する法的な力はありません。

確実に生前の希望(お葬式や片付け)を叶えるためには、遺言とは別に「死後事務委任契約」をしておく必要があります。

当事務所では、遺言で「遺言執行者」を指定し、その遺言執行者との間で「死後事務委任契約」も結んでおくことで、死後事務と遺産分割の両方を一人の専門家に確実に行わせる方法をご提案しています。

• ▶︎ 詳細記事: [遺言は何種類もある さまざまな方式を解説]

任意後見・成年後見との違い

任意後見人や法定後見人は、ご本人が生きている間の財産管理をする人です。「ご本人が死亡した時点」でその職務(権限)は完全に終了します。

そのため、後見人であっても、死後のお葬式の手配やアパートの解約といった死後事務は原則として行うことができません。

• ▶︎ 詳細記事: [任意後見制度とは?(将来の安心に備える)]

見守り契約との違い

見守り契約とは、任意後見契約がスタートするまでの間、定期的な訪問やお電話でご本人の心身の健康状態を把握するためのものです。

見守り契約だけでは、死後の事務を行うための財産的裏付け(権限)がなく、葬儀費用の支払いなどを行う事はできません。

4. 契約内容の注意点と法的制約

死後事務委任契約を結ぶ際には、将来的なトラブルを避けるために以下の点に注意が必要です。

✅信頼できる代理人(受任者)を選ぶ

確実な遂行のためには、金銭管理のプロであり守秘義務を持つ司法書士などの専門家を選ぶことが重要です。

✅契約内容と費用を明確にする

葬儀や埋葬に関する希望事項や、その費用の支払い方法(生前に預託金を預ける等)について明確に定めます。

✅できないことは?(法的制約)

死後事務委任契約では、「生前に発生する手続き(施設入所など)」は契約できません(※任意後見契約の領域です)。

また、「誰に遺産を相続させるか」といった身分・財産に関する事項も契約できません(※遺言の領域です)。

5. まずは専門家にご相談ください(まとめ)

死後事務委任契約は、ご自身の意向を正確に反映させ、死後の親族や知人に一切の負担をかけないための強力な手段です。

「自分が認知症になったらどうしよう」「死んだ後の片付けはどうしよう」という不安を完全に払拭するためには、【任意後見契約(生前の備え)】+【遺言書(財産の備え)】+【死後事務委任契約(死後の片付け)】の3つをセットで設計することが、おひとりさまにとっての究極の安心に繋がります。

練馬 相続遺言の相談窓口(司法書士事務所センス)では、お客様の状況に合わせた最適な「未来の安心プラン」をご提案する初回無料相談(90分)を実施しております。

一人で悩まず、まずは生前対策のプロフェッショナルである当事務所へお気軽にお問い合わせください。

【参考リンク(外部リンク)】

国民生活センター:身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意

この記事を書いた専門家

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。

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