最終更新日:2014/09/09
認知症の方がいる場合の遺産分割協議
ここでは、認知症の方がいる場合の遺産分割の進め方についてご説明いたします。
被相続人が死亡した時の状況によっては、相続人の中に認知症の方がいることがあります。
まず、相続手続きを行うために、相続人全員が遺産分割に同意していることが前提です。相続人の中の一人が認知症の方であっても相続人としての権利は有しているので、無視することはできません。認知症の相続人を除外した遺産分割協議は無効となり認められません。
また、遺産分割協議も財産の移転や処分を伴う法律行為です。認知症の方は、判断能力を欠いていますので、法律行為である有効な遺産分割協議が出来ないことになります。
このような場合、成年後見制度を利用し、認知症で判断能力を欠いている相続人に代わって遺産分割協議に参加する後見人を、家庭裁判所で選任する必要があります。家庭裁判所で選任された後見人が認知症の方を代理して、それ以外の相続人全員との間で遺産分割協議を行うことになります。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、判断能力が不十分のために、財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、法律面や生活面を保護・支援する制度です。
成年後見制度の手続
家庭裁判所に医者の診断書や鑑定書を添付して後見人選任の申し立てをします。家庭裁判所は、その診断書や鑑定書から認知症の程度に応じて成年後見人、保佐人、補助人を選任します。後見人が行うことのできる代理の範囲は、成年後見人、保佐人、補助人でそれぞれ変わってきます。
このように、認知症の方が相続人にいる場合、相続手続を進めるにあたり、まず成年後見制度を利用して家庭裁判所で後見人等を選任し、選任された後見人が本人に代わって他の相続人全員と遺産分割協議を行う流れとなります。
認知症の方がいて遺産分割が進まずに困っているという方、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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