任意後見制度とは?
最終更新日:2026/03/12
目次
認知症対策の要「成年後見制度」は大きく分けて2種類
成年後見制度は、認知症や知的障害・精神障害などにより判断能力が不十分な方を悪質商法などの不利益から法的に保護し、財産管理や身上保護(施設入所契約などの支援)を行うための制度です。
この成年後見制度には、本人の状態や備えのタイミングによって、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類が存在します。
さらに、2026年1月〜2月に法制審議会にて約25年ぶりとなる成年後見制度の大改正要綱案が取りまとめられ、今後制度が抜本的に見直されることが決まりました。
これまで「使い勝手が悪い」「一度始めたらやめられない」と敬遠されがちだった制度が、大きく改善されようとしています。
本記事では、2種類の制度の基本的な違いと、2026年最新の法改正のポイントについて解説します。
法定後見制度(すでに判断能力が低下している方向け)
本人の判断能力がすでに不十分な状態になった後に、親族や市区町村長などが家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が適切な支援者(成年後見人等)を選任する制度です。
【2026年大改正の注目ポイント:法定後見が大きく変わります!】
これまでの法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれていました。しかし、2026年の改正要綱案により、以下のような抜本的な見直しが行われる方向です。
• 3類型の廃止と「補助」への一本化
現行の包括的に本人から権利を奪う「後見」「保佐」を廃止し、本人の意思を尊重する「補助」型に一本化されます。
必要な支援を必要な範囲で組み合わせる柔軟な仕組みへと再編されます(※判断能力を完全に欠く方向けに「特定補助人」の枠組みも新設予定)。
• 終身制の廃止(途中終了が可能に)
現行制度では「遺産分割協議のため」など一時的な理由で申し立てた場合でも、本人が亡くなるまで原則として後見人がつき続け、報酬が発生し続けることが問題視されていました。
改正後は、必要性がなくなれば途中で利用を終了できるようになります。
これにより、利用者やご家族にとってより柔軟で使いやすい制度へと生まれ変わる見込みです。
▶︎ 参考リンク(外部リンク):法務省|成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A
▶︎ あわせて読みたい:成年後見の申立について徹底解説
任意後見制度(まだ判断能力がしっかりしている方向け)
任意後見制度とは、本人に判断能力があるうちに、あらかじめ後見事務の内容と、後見する「任意後見人」を、公正証書で決めておく制度です。 将来、自身の判断能力が不十分になった時の事を考えて、前もって行動しておきます。
任意後見制度の1番の特徴は、本人が自らの意思で後見人を選び、契約内容を決定できる点にあります。
これにより、本人は自分の財産や日常生活に関する事務を、信頼する人に任せることができます。
任意後見契約は、公証人が作成する公正証書として形成され、法務局で登記されます。これにより、契約内容が公的に証明され、任意後見人は役所や銀行などでの手続きをスムーズに行うことができます。
本人の判断能力が低下したことを家庭裁判所が認めた時点で初めて任意後見制度がスタートします。この契約には、任意後見監督人が選任されることも含まれており、任意後見人の行動を監督します。
• メリット
誰に、どのような支援をしてもらうかを自分自身の意思で自由に決めておくことができる点が最大の魅力です。法定後見のように、裁判所の判断で見知らぬ専門家が選任されるリスクを回避できます。
• 利用の流れ
実際に判断能力が低下した際、家庭裁判所に申し立てて「任意後見監督人」を選任してもらうことで、初めて任意後見契約の効力がスタートします。
▶︎ あわせて読みたい 家族だけで管理する「財産管理委任契約」について解説
任意後見人とは?
任意後見人の役割は、本人の財産管理や身上監護に関する事務を行うことです。
これには、銀行取引の管理、不動産の維持管理、医療や介護サービスの手配、日常生活に関わる重要な決定を含みます。
任意後見人は、本人の利益を最優先し、本人の意向に沿った決定を行う責任があります。
どんな人が任意後見人になれるか
任意後見人になるために特別な資格は必要ありません。
例えば•••
任意後見人になれる人
- 家族や親戚、友人
- 司法書士などの専門家
- 法人と契約を結ぶことも可能
ただし、以下のような条件に該当する人は任意後見人になることができません
任意後見人になれない人
- 未成年者
- 破産者
- 行方不明者
- 家庭裁判所から法定代理人などを解任されたことがある人
- 本人に対して裁判をしたことがある人、その配偶者と直系血族
- その他任意後見人の任務に適しない事由がある人
人選は慎重に
任意後見人は、制度を利用する本人が自由に選べますが、実際に任意後見制度を利用する際には、任意後見人が職務を適切に果たせるかどうか、また本人の利益を守れるかどうかを考慮して選ぶ必要があります。
任意後見制度を利用する流れ
任意後見制度の利用の流れを詳しく解説します任意後見受任者と契約内容を決める
① 任意後見受任者と契約内容を決める
まずは本人が、任意後見人として信頼できる人を選び、契約内容を決定します。
② 任意後見契約の締結
選ばれた任意後見人との間で、財産管理や身上監護などの内容を定めた任意後見契約を締結します。
この契約は、公証人によって作成される公正証書として正式に記録され、法務局で登記されます。
これにより、契約内容が公的に証明され、任意後見人は役所や銀行などでの手続きをスムーズに行う事ができます。
③ 任意後見監督人の選任
本人の判断能力が低下したとき、家庭裁判所に申立てを行い、任意後見監督人を選任します。
任意後見監督人は、任意後見人の活動を監督し、適正な財産管理が行われているかをチェックする役割を担います。
申立ては、本人やその配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者が行うことができます。
④ 任意後見制度の開始
任意後見監督人が選任されると、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人が活動を開始します。
任意後見人は、契約で定められた特定の法律行為を本人に代わって行うことができます。
任意後見監督人の監督の下で、本人の財産や福祉に関する重要な決定を行うことになります。
任意後見制度における家庭裁判所の関与
任意後見制度における家庭裁判所の関与は、主に任意後見監督人の選任とその監督に関連していて、本人があらかじめ選任しておいた任意後見人を、家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督するにとどまります。
具体的には、以下のようなプロセスがあります
任意後見監督人の選任
本人の判断能力が低下した場合、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。この選任が行われた時点で、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人が契約で定められた法律行為を行う事ができます。
監督機能
任意後見監督人は、任意後見人が任意後見契約の内容に従って適正に業務を行っているかを監督します。任意後見人は財産目録などを提出し、任意後見監督人はこれをチェックすることで、本人の利益が守られているかを確認します。
報告義務
任意後見監督人は、任意後見人の業務に関して家庭裁判所に報告を行い、家庭裁判所はその監督を受けます。これにより、任意後見人の活動が適切に行われているかを家庭裁判所が確認することになります。
報酬の決定
任意後見監督人から報酬の請求があった場合、その金額は家庭裁判所の判断によって決定され、本人の財産から支払われます。
法定後見制度への移行
任意後見契約の内容だけでは本人を保護できない場合、特に必要があると認められるときに限り、法定後見制度を利用することができます。この場合も家庭裁判所が関与します。
以上のように、家庭裁判所は任意後見制度において重要な役割を果たし、本人の保護と任意後見人の活動の適正性を確保するための監督機能を担っています。
任意後見のメリットとデメリット
任意後見制度は、判断能力が低下した際に備えて、事前に信頼できる人を後見人として指名し、財産管理や日常生活の決定を任せる制度です。
この制度には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
任意後見のメリット
自己決定の尊重
任意後見制度では、本人が判断能力があるうちに、自分の意志で後見人を選ぶことができます。
これにより、本人の意向が尊重され、将来のサポートを自分で計画することが可能です。
柔軟な制度設計
任意後見契約では、本人の希望に応じて、後見人の権限や業務範囲を自由に設定できます。
これにより、個々のニーズに合わせたオーダーメイドのサポートが実現します。
プライバシーの保護
任意後見制度は、家族や親しい人が後見人となることが多く、プライバシーが守られやすいです。
また、家庭裁判所の関与が最小限に抑えられるため、個人情報の公開も限られます。
コストの削減
親族や友人が無報酬で後見人を務めることも可能であり、法定後見制度に比べて経済的な負担を軽減できる場合があります。
迅速な対応
任意後見制度では、本人の判断能力が低下したと認められた時点で、すぐに後見人が業務を開始できます。
これにより、迅速なサポートが可能になります。
デメリット
後見監督人の必要性
任意後見制度では、後見人の業務を監督するために後見監督人の選任が必要です。
これには追加のコストが発生し、後見監督人への報酬も考慮する必要があります。
報酬の不確定性
任意後見人への報酬は契約次第であり、依頼先によっては高額になることもあります。
特に専門家に依頼する場合、その費用は法定後見制度よりも高くなる可能性があります。
取消権が無い
任意後見人には、本人が独断で行った法律行為を取り消す取消権が認められていません。
その結果、本人の保護が不十分となる可能性があります。
死後に事務が決行されなリスク
本人が死亡した場合、任意後見契約は終了します。そのため、死後事務(身辺整理など)を任意後見人に依頼することはできません。
契約を解除される可能性
任意後見契約を結んでいても、任意後見監督人が選任される前であれば、任意後見人から契約の解除ができるため、本人の意向が反映されないリスクがあります。
以上の点を踏まえると、任意後見制度は、本人の意向を尊重し、柔軟にサポート内容を決められるメリットがある一方で、コストや後見人の権限に関する不確定性、本人の保護の不十分さなどのデメリットも考慮する必要があります。
制度を利用する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、適切な計画を立てることが重要です。
練馬区で成年後見制度のご相談なら当窓口へ
成年後見制度は、認知症対策や財産管理、相続発生後の遺産分割協議と密接に関わってきます。
特に2026年の法改正を控え、「今のうちに任意後見を結んでおくべきか」「新しい制度の施行を待ってから法定後見を申し立てるべきか」など、専門的で慎重な判断が求められるケースが増えています。
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裁判所|成年後見制度(後見・保佐・補助)の概要を知りたい方へ
この記事を書いた専門家
- 司法書士事務所センス 代表
-
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。
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