最終更新日:2024/07/17

相続不動産の評価を減らす

相続税の負担を軽減するためには、相続税評価額をできるだけ低く抑えることが重要です。

もちろん、これは違法な手段を用いるのではなく、法律で認められている方法を適用することが前提です。

このページでは代表的な評価を減らす方法をいくつかご紹介しますので、是非参考にしてください。

土地を他人に貸している場合

土地を他人に貸している場合、その土地の相続税評価額は「貸宅地」として評価されます。

貸宅地は、自用地(自分で使っている土地)に比べて評価額が低くなるため、相続税の負担を軽減することができます。

具体的に、貸宅地の評価額はこのように計算されます

貸宅地の評価額 = 自用地の評価額 × (1 − 借地権割合)

※自用地・・・他人に貸さずに、自分で使用している宅地のこと

借地権割合は地域や立地によって異なり、国税庁の路線価図や評価倍率表で確認できます。

一般的に、住宅地の借地権割合は30%から70%の範囲内です。

また、他人に貸すための建物が建っている土地(貸家建付地)の場合も、相続税評価額が低くなります。この場合の評価額は以下のように計算されます

貸家建付地の評価額 = 自用地の評価額 − (自用地の評価額 × 借地権割合 × 借家権割合)

借家権割合は全国一律で30%とされています。

これにより、相続税の負担を軽減することが可能です。

具体的な評価額や計算方法については、専門家に相談することをお勧めします。

土地を借りている場合

借地権の評価額=自用地とした場合の評価額×借地権割合

(貸している土地であっても建物がない場合には借地権は発生しない)

(借地権割合は、路線価図や評価倍率表に表示されている)

土地を借りている場合、その土地自体はあなたの相続財産には含まれませんが、借地権(借りている権利)として評価されることがあります。

借地権の評価額は、相続税の計算に影響を与えるため、注意が必要です。

借地権の評価額は、以下のように計算します。

借地権の評価額=自用地の評価額×借地権割合

※貸している土地であっても建物がない場合には借地権は発生しない

※自用地・・・他人に貸さずに、自分で使用している宅地のこと

借地権割合は地域や立地によって異なり、国税庁の路線価図や評価倍率表で確認できます。

一般的に、住宅地の借地権割合は30%から70%の範囲内です。

また、借地権を持っている場合でも、相続税の負担を軽減するための特例や控除が適用されることがあります。

例えば、「小規模宅地等の特例」を利用することで、評価額を最大80%減額できる場合があります。

賃貸物件を所有しているとき【貸家建付地評価減】

貸家建付地評価減とは、賃貸用の建物が建っている土地(貸家建付地)の相続税評価額を減額する制度です。

この評価減により、相続税の負担を軽減する事ができます。

貸家建付地の評価額は以下のように計算します

貸家建付地の評価額 = 自用地の評価額 − ( 自用地の評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合 )

※貸家建付地: 地主が建物を建てて他人に貸している時の土地

※自用地の評価額: 自分で使用している場合の土地の評価額

※借地権割合: 地域ごとに異なり、国税庁の路線価図で確認できます。

※借家権割合: 全国一律で30%。

※賃貸割合: 賃貸している部分の割合。

例えば、評価額が1,500万円の土地に借地権割合70%、借家権割合30%、賃貸割合80%が適用される場合、貸家建付地の評価額は以下のようになります。

1,500万円−(1,500万円×0.7×0.3×0.8)=1,248万円

このように、貸家建付地評価減を利用することで、相続税の評価額を減額し、相続税の負担を軽減することができます。

生活に必要な資産に対する配慮【小規模宅地の評価減】

生相続税の負担を軽減するために、被相続人の居住用宅地や事業用宅地に対して適用される「小規模宅地等の特例」という制度があります。

この特例を利用することで、一定の面積までの宅地の評価額を大幅に減額することができます。

  特定居住用宅地等 特定事業用宅地等 貸付事業用宅地等
対象 被相続人が居住していた宅地 被相続人が事業に使用していた宅地(貸付事業を除く) 被相続人が貸付事業に使用していた宅地
限度面積 330㎡まで 400㎡まで 200㎡まで
評価額の減額割合 80%減額 80%減額 50%減額
適応要件 被相続人が亡くなる直前まで居住していたことが条件 被相続人が亡くなる直前まで事業に使用していたことが条件(貸付事業を除く) 被相続人が亡くなる直前まで貸付事業に使用していたことが条件

参考リンク: 国税庁 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

建物を他人に貸している場合

建物を他人に貸している場合、その建物の相続税評価額は「貸家」として評価されます。

貸家の評価額は、自用の建物(自分で使用している建物)に比べて低くなるため、相続税の負担を軽減する事ができます。

貸家の相続税評価額の計算方法

貸家の相続税評価額は以下のように計算します。

貸家の評価額= 建物の固定資産税評価額 × ( 1 − 借家権割合 × 賃貸割合 )

借家権割合: 全国一律で30%。

賃貸割合: 賃貸している部分の割合(通常は100%)

例えば、固定資産税評価額が1,000万円の貸家の場合、評価額は以下のようになります

1 , 000 万円 × ( 1 − 0.3 × 1 ) = 700 万円

貸家建付地の評価額 貸家が建っている土地(貸家建付地)の評価額も低くなります。

計算方法は以下の通りです

貸家建付地の評価額 = 自用地の評価額 × ( 1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合 )

借地権割合: 地域ごとに異なり、国税庁の路線価図で確認できます。

借家権割合: 全国一律で30%

賃貸割合: 賃貸している部分の割合

例えば、自用地の評価額が1,500万円、借地権割合が60%、借家権割合が30%、賃貸割合が100%の場合、評価額は以下のようになります

1 , 500 万円 × ( 1 − 0.6 × 0.3 × 1 ) = 1 , 230 万円

このように、貸家や貸家建付地の評価額を低く抑えることで、相続税の負担を軽減することができます。

具体的な評価額や計算方法については、専門家に相談することをお勧めします。

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

         相続・遺言無料相談 お気軽にお問い合わせください! 03-6915-8210 受付: 10:00-18:00(土日祝対応) 無料相談の詳細はこちら
PAGE TOP