生命保険金の請求 受け取り方法や必要書類などを解説
最終更新日:2024/04/01
目次
生命保険金の請求で知っておきたい事
生命保険金は遺産分割の対象には含まれない
生命保険金は遺産分割の対象には含まれません。
保険金は受取人の固有の権利であり、相続財産とは別に扱われます。
相続人が他の相続財産として併せて相続するのではなく、受取人が直接受け取ります。
保険には請求期限がある
死亡保険金の請求期限は原則として3年です。
期限を過ぎないように注意しましょう。
まずは保険会社へ連絡して請求手続きを
生命保険金の請求は保険会社に連絡し、必要な書類を提出することで行います。
詳細は保険会社ごとに異なります。
相続税の対象になる
生命保険金は相続税の対象です。
亡くなった人が保険料を負担していた保険契約について、死亡により生命保険金を受け取った場合、相続税がかかります。
ただし、非課税枠が設けられています。
生命保険金にも非課税枠がある
生命保険の受け取りには、以下の税金が非課税枠になります。
所得税
生命保険の死亡保険金や満期保険金は、所得税の非課税枠に含まれます。
ただし、契約者、被保険者、受取人の関係によって、所得税の種類が変わります。
相続税
生命保険の死亡保険金は、相続税の非課税枠に含まれます。
受取人が法定相続人の場合、非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。
贈与税
生命保険の死亡保険金が贈与とみなされる場合、贈与税がかかります。
以上の税金の種類と非課税枠を考慮して、生命保険の受け取りを計画してください。
亡くなった方がどこの保険に入っていたのか分からない場合や、加入の有無を調べたい場合はどうする?
相続手続きにおいて、被相続人が生命保険に加入しているかを調べる方法は以下の通りです。
保険証書の確認
生命保険契約をしていた場合、保険会社から交付される書類である保険証書を探します。
預金通帳やクレジットカードの明細で確認
口座引き落としで契約していた場合は、預金通帳の履歴やクレジットカードの明細で保険料の支払いを確認できます。
生命保険契約照会制度を利用する
生命保険協会に生命保険の有無を照会することができます。
照会申請には一定の条件がありますが、制度を利用することで加入先を調べることができます。
利用料は1件につき3,000円です。
参考リンク
政府広報オンライン家族の生命保険契約を一括照会!どこの会社に加入しているか調べられます
ケース別事例 生命保険の受取人の指定について
生命保険金については、その受取人がどのように指定されているのかで分けて考える必要があります。以下のケースを参考にしてください。
相続人以外の者が保険金の受取人として指定されていたケース
保険金は受取人の固有の権利として取得するので相続財産には含まれません。
相続人以外が保険金受取人になっている場合、その相続人以外の人に相続税がかかります。
生命保険の非課税枠は使えません。相続税の2割加算の対象にもなります。
ケース(2)保険金の受取人が「相続人の誰か」として指定されているケース
被相続人が「相続人の誰か」を受取人に指定していた場合は、生命保険金請求権は受取人に指定された者の固有の権利ですから相続財産に含まれません。但し、受取額が高額になる場合には、特別受益の扱いになる可能性もあります。
ケース(3) 保険金の受取人が被相続人(死亡)自身とされているケース
自分自身を受取人として契約していた場合は、被相続人の死亡により、相続人は保険金請求権を取得します。この請求権は被相続人の相続財産に含まれ、相続人が他の相続財産としてあわせて相続します。
保険金受取人が指定されていなかったケース
保険金受取人が指定されていない場合、被保険者の法定相続人が受取人となります。
受取人は法定相続人に限られ、非課税枠が適用されます。
保険金受取人が既に死亡していたケース
受取人が既に死亡していた場合、その受取人の法定相続人が受取人となります。
非課税枠の適用がありますが、必ずしも受取人=法定相続人ではないので注意が必要です。
生命保険金の請求方法
相続が発生した場合、生命保険金を受け取るための手続きは以下の通りです
生命保険会社の確認
亡くなった被保険者が加入していた生命保険の保険証券を見て、保険会社や保障内容を確認します。
保険会社への連絡
死亡の事実を保険会社に伝え、死亡保険金の請求に必要な書類の請求を行います。
必要書類の準備
保険会社から送られてきた書類に記載し、添付書類と一緒に送付します。
審査と受け取り
保険会社の審査を受けて、生命保険金を受け取ります。 生命保険金の請求手続きは、遺産分割や相続税申告とは異なるので、注意が必要です。
生命保険金を請求する際に必要な書類
生命保険金を請求する際に必要な書類は、
- ・保険金請求書(保険会社所定の物)
- ・保険証券・死亡診断書(死体検案書)
- ・被相続人の住民票及び戸籍謄本
- ・保険金受取人の印鑑証明書
- ・災害事故証明書、交通事故証明書(死亡原因が災害・事故による場合)
などが挙げられます。
※必要書類は各保険会社によって異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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