相続登記の義務化について
最終更新日:2026/03/06
目次
相続登記の義務化とは?過去の相続分は「2027年3月末」が期限です!
長年「任意」とされてきた不動産(土地・建物)の相続登記ですが、法改正により2024年(令和6年)4月1日から「義務化」がすでにスタートしています。
「自分は義務化される前に相続したから関係ない」と思っていませんか?実は、過去の相続で名義変更を放置している不動産もすべて義務化の対象となります。
本記事では、相続・不動産登記の専門家である練馬区の司法書士が、義務化の具体的なルールと罰則、そして「いつまでに何をすべきか」を分かりやすく解説します。
1. 相続登記の義務化、3つの重要ルールと罰則
まずは、絶対に押さえておくべき3つのポイントを解説します。
① 期限は「相続を知った日から3年以内」
不動産を相続で取得したことを知った日から**「3年以内」**に、法務局へ相続登記の申請をすることが法的に義務付けられました。また、遺産分割協議を行って不動産を取得した場合も、協議が成立した日から3年以内に登記をする必要があります。
② 違反すると「最大10万円の過料(ペナルティ)」
正当な理由がないのに、期限内に相続登記の申請を怠った場合、**10万円以下の過料(行政上のペナルティ)**が科される可能性があります。法務局から催告書が届き、それでも無視し続けると裁判所から過料の通知が来る仕組みになっています。
③ 【要注意】過去に相続した不動産も対象です!
ここが最も誤解されやすいポイントです。2024年4月1日の制度開始より「前」に相続した不動産であっても、名義変更が終わっていなければ義務化の対象となります。
過去の相続分については、猶予期間が設けられていますが、その期限は**【2027年(令和9年)3月31日まで】**と、すでに残りわずかとなっています。
2. なぜ今、相続登記が義務化されたのか?
かつては、相続登記をしなくても罰則がなかったため、「手続きにお金がかかるから」「自分は住まないから」といった理由で、亡くなった祖父母や親の名義のまま放置されるケースが多発しました。
その結果、現在の所有者が誰か分からない「所有者不明土地」が全国で爆発的に増加し、九州本島の面積を上回る規模にまで膨れ上がってしまいました。これにより、公共事業や災害復興の妨げになる、近隣の空き家が倒壊しそうでも持ち主に連絡が取れないなど、深刻な社会問題となっています。
国土交通省が公表している「所有者不明土地の実態把握の状況について」によると、全国の拡大推計結果では所有者不明率は約2割、土地面積では約410万ha(九州の土地面積368万ha)となっています。
九州の土地面積よりも広い土地の所有者が不明であれば災害復興においても、また普段の公共事業においても所有者不明土地がその妨げになっていることは明らかであり、国としてもその解消に本腰を入れざるを得なくなったわけです。
この「所有者不明土地問題」を解消し、次世代へ負の遺産を残さないために、国を挙げて相続登記が義務化されたのです。
なお、相続登記を促すための政策として、100万円以下の土地についての相続による所有権移転登記の登録免許税は非課税です。(令和9年(2027年)3月31日まで)
※相続登記の登録免許税の免税措置
相続登記をするよい機会だといえます。
3. 遺産分割の話し合いがまとまらない場合の救済措置
「3年以内に登記しなければいけないのは分かったが、相続人間でモメていて、誰が不動産を継ぐか決まらない…」というケースもあるでしょう。
そのような場合の救済措置として「相続人申告登記」という新しい制度が創設されました。
これは、「とりあえず自分が相続人の一人であること」を法務局に申告するだけの簡易的な手続きです。これを期限内(3年以内)に行えば、ひとまず相続登記の義務を果たしたことになり、過料(罰則)を回避することができます。
(※ただし、これは暫定的な処置であり、最終的に遺産分割がまとまったら、そこから3年以内に正式な相続登記を行う必要があります)
申請義務に違反すると罰則はあるの?
申請義務違反のペナルティは「10万円以下の過料」とされています。
なお、過料は行政罰であり、刑事罰である科料などと異なり前科はつきません。
不動産登記法には、以前から表題登記には申請義務がありましたが、こちらが適用されて過料が課された事例はないようです。
しかし、今回の改正は所有者不明土地の解消が目的とされているので、過料が適用される可能性は高いでしょう。
期限内に登記ができないときはどうすればいい?
相続登記が申請できなくても相続人の申告をすれば相続登記申請の義務を果たしたことになる便宜的な制度が新設されています。
相続が開始しても遺産分割協議がなかなか整わないので相続登記の申請ができない場合に、義務違反だとして過料を課すのは酷であり国民の理解を得られないため設けられた措置です。
相続人のうち1人だけから相続人であることを申告でき、申告した方については相続登記の義務を果たしたことになります。
添付書類は、亡くなった方の戸籍謄本・住民票の写し、相続人(申告人のみ)の戸籍謄本・住民票の写しになると思われます。
他の相続人についての情報は要求されません。
なお、登録免許税は非課税とされています。
所有者の住所・氏名変更の登記申請も義務化
令和3年4月28日の公布後5年以内に施行されることになっていますが、現在のところ具体的な施行日は決まっていません。
住所や氏名に変更があったときに、変更があったときから2年以内にその旨の登記をしなければならなくなります。
個人だけではなく、会社などの法人についても適用されます。
ペナルティは5万円以下の過料です。
相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度とは、相続によって取得した土地が不要であれば国が取得してくれる制度です。
令和5年4月27日から施行されます。
現在でも所有権の放棄は可能で、無主物は国のものになることになっていますが、どんな土地でも国のものになってしまうと管理費用も莫大になることもあり、国が引き取る登記手続きには協力することはありませんでした。
寄付や相続税の物納も国の定める条件に合わなければ、国が受け付けることはありません。
今回の国庫帰属制度においても同様に国が引き取るための条件が定められています。
- ✅ 土地上に建物がないこと
- ✅ 担保権や使用収益権などが設定されていないこと
- ✅ 土地の境界が明確であること
- ✅ 地下埋設物がないこと
など所有しても負担がない優良な土地であることが求められています。
また国庫に引き取ってもらうために必要な調査があれば調査費を負担して、10年分の管理費を納める必要もあります。
相続登記の方法・必要書類
不動産所在地を管轄する法務局に対して申請人が相続人であることがわかるだけの資料を添付して所有権移転登記の申請を行います。
戸籍等は一度原本を法務局に提出します。
原本の返却を希望する場合は、コピーし、写しに相違ないことを添え書きしたうえで原本と一緒に提出すれば登記完了後に返却してもらえます。
登記申請は本人申請でも可能ですから、下記のリンク先を参照してください。
遺言書がある場合の必要書類
遺言書
名義人(所有者)が亡くなったことがわかる戸籍謄本
名義人の除票(または戸籍の附票)
相続人(申請人)の戸籍抄本
相続人の住民票の写し
遺言執行者の資格を証明する資料(遺言書または遺言執行者の選任審判書)
遺言書は公正証書または法務局で保管していた自筆証書遺言を除いて「検認」を家庭裁判所で受けることが必要です。
「住民票の写し」とは役所で「住民票」を保管してあるため役所から発行してもらった原本が「住民票の写し」となります。
遺言書がない場合の必要書類
亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(「除籍」、「改製原」など呼び方が違うことがあります)
亡くなった方の住民票の写し(または戸籍の附票)
相続人全員の戸籍抄本
相続人全員の住民票の写し
戸籍は「相続登記に使用する」ことを役場・役所の窓口で言い添えればその役所でそろう戸籍等をそろえてくれることがあります。
本籍地の役場・役所でなければ戸籍を取得できませんので遠隔地であれば郵送で請求することになります。
それぞれの役場ではホームページで費用や請求用紙など請求時の説明を掲げていますから参照してください。
なお、名義人が亡くなった時に生きていなければ相続人になれませんから、添付する戸籍は名義人が亡くなった後に取得したものでなければなりません。
遺産分割協議を行った場合の必要書類
前記の書類に加えて
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
が必要です。
遺産分割協議書には相続人全員が記名し実印を押捺します。
放置するほど手続きは困難に!お早めに司法書士へご相談を
相続登記を放置するデメリットは、過料(罰則)だけではありません。
年月が経つと、他の相続人が亡くなってさらにその子どもへと権利が移り(数次相続)、顔も知らない親戚何十人もの実印と印鑑証明書を集めなければ名義変更できないという絶望的な状況に陥ります。
✅「何十年も前の名義になっているが、何から手をつければいいか分からない」
✅「平日は仕事で、役所や法務局に行く時間がない」
✅「戸籍の集め方や、遺産分割協議書の書き方が分からない」
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ相続専門の司法書士にご相談ください。
当事務所では、複雑で面倒な戸籍収集から、遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請まで、すべての手続きを丸ごとサポートいたします。
過去の相続分の期限(2027年3月末)が近づくにつれ、法務局や専門家への相談窓口が大変混み合うことが予想されます。
罰則を受ける前に、まずは「練馬 相続遺言の相談窓口」の初回無料相談をご活用ください。
【関連・お役立ちリンク】
▶︎ [不動産の名義変更(相続登記)が必要な理由]
▶︎ [相続手続きを司法書士に依頼するメリット]
▶︎ [サポート料金(費用について)]
法務省:知っていますか?相続登記の申請義務化について(※外部リンク)
この記事を書いた専門家
- 司法書士事務所センス 代表
-
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。
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