相続税のQ&A よくある質問
最終更新日:2024/07/30
目次
- 1 相続税のQ&A
- 2 Q1 相続税の申告をする必要があるのはどんな人ですか?
- 3 Q2 提出に期限はありますか?
- 4 Q3 妻は本年夫が死亡したため夫の死亡で遺産を相続することになりましたが、昨年夫からいま住んでいる住宅と土地の贈与を受けていました。このときの贈与税は贈与税の配偶者控除を受けたため課税されませんでしたが、相続税では相続開始前3年以内の贈与財産として相続税財産に加算し課税されることになるのでしょうか?
- 5 Q4 離婚により妻が夫から財産の分与を受けた場合には、その財産に贈与税が課税されるでしょうか?
- 6 Q5 相続した財産を売却するときに、また税金がかかるのですか?
- 7 Q6 相続税の申告はどのタイミングで相談するのがベストですか?
- 8 Q7 相続税の節税はできるのでしょうか?
- 9 Q8 相続税はどのような財産にかかるのですか?
- 10 Q9)内縁関係にありますが、将来相続が発生した場合に相続人になれますか?
- 11 Q10 養子は財産がもらえるのに、連れ子はもらえないというのは本当ですか?
- 12 Q11 婚外子(こんがいし)、非嫡出子(ひちゃくしゅつし)には相続権がないのですか?
- 13 Q12 相続人のいない財産はどうなるの?
- 14 Q13 相続税の納め方は?
- 15 Q14 相続税で物納ができるのは本当ですか?
相続税のQ&A
相続税に関するQ&A よくある質問にお答えします。
相続税の基本的な仕組みや申告手続き、特例制度などについての疑問を解消できればと思います。
Q1 相続税の申告をする必要があるのはどんな人ですか?
A1 相続税の申告が必要な人は、以下の条件を満たす場合です
基礎控除額を超える財産を相続した場合
基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。
例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円となります。
この金額を超える財産を相続した場合、相続税の申告が必要です。
特例や控除を受ける場合
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受ける場合、相続税が発生しなくても申告が必要です。
Q2 提出に期限はありますか?
A2 はい、相続税の申告書の提出期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
例えば、1月1日に被相続人が亡くなった場合、その年の11月1日が申告期限となります。
申告期限を過ぎると、延滞税や加算税がかかる可能性があるため、期限内に申告を行うことが重要です。
Q3 妻は本年夫が死亡したため夫の死亡で遺産を相続することになりましたが、昨年夫からいま住んでいる住宅と土地の贈与を受けていました。このときの贈与税は贈与税の配偶者控除を受けたため課税されませんでしたが、相続税では相続開始前3年以内の贈与財産として相続税財産に加算し課税されることになるのでしょうか?
A3 贈与税の配偶者控除を受けた場合でも、相続税の計算においては、相続開始前3年以内の贈与財産として加算されることになります。
つまり、昨年受けた住宅と土地の贈与も相続税の対象となります。
具体的には、相続税の計算において、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産は、相続財産に加算されるため、相続税の課税対象となります。
参照: 国税庁 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
Q4 離婚により妻が夫から財産の分与を受けた場合には、その財産に贈与税が課税されるでしょうか?
A4 離婚による財産分与については、通常、贈与税は課税されません。
なぜなら、財産分与は夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のためのものであり、贈与とは見なされないためです。
ただし、以下の2つの場合には贈与税が課税されることがあります
1. 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他の事情を考慮してもなお多過ぎる場合。
2. 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合。
このような場合には、贈与税が課税されることがありますので、具体的な状況については専門家に相談することをお勧めします。
Q5 相続した財産を売却するときに、また税金がかかるのですか?
A5 はい、相続した財産を売却する際には、税金がかかることがあります。
具体的には、以下の税金が考えられます。
譲渡所得税
相続した不動産を売却した場合、その売却益に対して課税されます。
譲渡所得は、売却価格から取得費(購入価格や譲渡費用)を差し引いた金額です。
住民税
譲渡所得に対して住民税も課税されます。
税率は所有期間に応じて異なります。
印紙税
売買契約書に貼る印紙代がかかります。 また、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却する場合、「相続税の取得費加算の特例」を適用することで、譲渡所得税を節税することができます。
相続税額の取得費加算の特例とは
相続により取得した財産を、相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合には、支払った相続税額のうち、一定の金額をその譲渡所得の計算上、経費とすることができるというものです。
この特例の適用を受けるためには確定申告をすることが必要です。また、期限がありますのでお早めの決断が求められます。
Q6 相続税の申告はどのタイミングで相談するのがベストですか?
A6 相続税の申告について相談するベストなタイミングは、できるだけ早い段階が良いでしょう。
具体的には、相続が開始したらすぐにでも相談するのが望ましいです。
相続税の申告期限は、相続が開始した日(被相続人の死亡を知った日)の翌日から10ヶ月以内です。
この期間内に申告を完了する必要がありますが、申告の準備には時間がかかることが多いため、早めに相談を始めることが重要です。
特に、以下のようなタイミングで相談することをお勧めします
相続が開始した直後
葬儀が終わった後、初七日が過ぎた頃に相談を始めるのが理想的です。
相続財産の調査が始まる前
相続財産の調査や評価が始まる前に相談することで、スムーズに手続きを進めることができます。
申告期限の3ヶ月前まで
申告期限の3ヶ月前までには相談を始めることで、余裕を持って申告の準備を進めることができます。
早めに相談することで、専門家のアドバイスを受けながら適切な手続きを進めることができ、申告期限に間に合わないリスクを避けることができます。
よって、相続税の申告の相談は、早ければ早いほどよいといえるでしょう。できれば相続開始日から2ヶ月以内にされることをお勧め致します。
Q7 相続税の節税はできるのでしょうか?
A7 はい、相続税の節税は可能です。いくつかの方法を紹介いたします。
1 生前贈与
生前に財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。
ただし、贈与税がかかる場合があるため、計画的に行うことが重要です。
※生前贈与について詳しくはこちらをご覧ください
2 生命保険の活用
生命保険金には非課税枠があり、これを利用することで相続税を節税できます。
※詳しくはこちらをご覧ください。
3 小規模宅地等の特例
一定の条件を満たす宅地については、評価額を減額する特例があります。
4 養子縁組
法定相続人を増やすことで、基礎控除額を増やすことができます。
5 教育資金贈与信託
教育資金を贈与することで、一定額まで非課税となります。
以上の方法を組み合わせることで、相続税の負担を軽減することができます。
ただし、具体的な状況に応じた対策が必要ですので、専門家に相談することをお勧めします。
Q8 相続税はどのような財産にかかるのですか?
A8 相続税は、被相続人(亡くなった方)の財産を相続や遺贈によって取得した場合に、その取得した財産に対して課税されます。具体的には、以下のような財産が相続税の課税対象となります。
現金・預貯金
銀行口座にあるお金や現金。
有価証券
株式、債券、投資信託など。
不動産
土地や建物。
動産
自動車、宝石、貴金属、骨董品など。
貸付金
被相続人が他人に貸しているお金。
特許権・著作権
知的財産権。
ゴルフ会員権
ゴルフクラブの会員権。
また、以下のような財産も「みなし相続財産」として相続税の対象となります。
死亡保険金
被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金。
死亡退職金
被相続人が勤務していた会社から支給される退職金。
以上の財産は、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが含まれます。
Q9)内縁関係にありますが、将来相続が発生した場合に相続人になれますか?
A9 内縁関係にある場合、法律上の相続人にはなれません。
法定相続人になれる配偶者とは、正式な婚姻の届出を行った夫または妻のことです。
戸籍上は籍に入っていない内縁関係の場合は相続権がありません。
よく引用される事例ですが、入籍前の新婚旅行で事故死した場合も相続権はありません。
しかし、いくつかの方法で内縁の配偶者が財産を受け取ることができる場合があります。
遺言書の作成
被相続人が遺言書に内縁の配偶者に財産を遺贈する旨を記載することで、財産を受け取ることができます。
特別縁故者としての認定
相続人がいない場合、家庭裁判所に申し立てを行い、特別縁故者として認定されることで財産を受け取る事ができます。
Q10 養子は財産がもらえるのに、連れ子はもらえないというのは本当ですか?
A10 本当です。養子は養子縁組を行った日から実子と同じ扱いになります。
養子の場合は養親(ようしん)、実親(じつおや)の両方の相続人になれます。
また、法定相続人の数に含めることができる養子の数は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までが認められます(民法上は養子の数に制限はありません)。
しかし連れ子は、法律上の親子関係がないため、義理の親の財産を自動的に相続する権利はありません。
ただし、連れ子に財産を引き継がせる方法が以下の2つ程あります。
1 養子縁組をする
連れ子と義理の親が養子縁組をすることで、法律上の親子関係が成立し、連れ子も相続権を持つことができます。
2 遺言を作成する
義理の親が遺言書を作成し、その中で連れ子に財産を遺贈する旨を記載することで、連れ子に財産を引き継がせることができます。
以上の方法を利用することで、連れ子にも財産を引き継がせることが可能です。
Q11 婚外子(こんがいし)、非嫡出子(ひちゃくしゅつし)には相続権がないのですか?
A11 婚姻届を行った両親から生まれた子を「嫡出子(ちゃくしゅつし)」といい、婚姻関係のない男女から生まれた子を「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」いわゆる「婚外子」といいます。
いいえ、現在では婚外子(非嫡出子)にも相続権があります。 婚姻届を行った両親から生まれた子を「嫡出子(ちゃくしゅつし)」といい、婚姻関係のない男女から生まれた子を「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」いわゆる「婚外子」といいます。
以前は、嫡出子(婚姻関係にある夫婦の子)と非嫡出子(婚姻関係にない男女の子)では相続分が異なっていましたが、現在は法律が改正され、嫡出子と非嫡出子の相続分は同じ割合になっています。
ただし、父親の相続権を得るためには、父親からの「認知」が必要です。
認知されることで、非嫡出子も嫡出子と同じ法定相続分を得ることができます。
Q12 相続人のいない財産はどうなるの?
A12 相続人がいない場合、被相続人の財産は最終的に国庫に帰属します。
ただし、いくつかの手続きを経る必要があります。
相続財産管理人の選任
家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、遺産の管理・処分を行います。
債権者への公告
被相続人に対する債権者や受遺者がいる場合、公告を行い、債権の申出を受け付けます。
相続人の捜索
相続人が本当にいないかどうかを確認するために、相続人の捜索が行われます。
特別縁故者への遺産分与
特別縁故者とは、内縁の夫・妻、被相続人の療養看護に努めた人、戸籍上は養子縁組の届出がなされなかった親子同等の関係者など、被相続人の存命中に精神的あるいは経済的な支援を行っていたなどの密接な関係を認められた人をいいます。
特別縁故者がいる場合、その人に遺産の全部または一部が分与されることがあります。
これらの手続きを経ても相続人や特別縁故者が見つからない場合、遺産は国庫に帰属します。
Q13 相続税の納め方は?
相続税の納付方法には、主に以下の4つの方法があります
金融機関の窓口
銀行、信用金庫、郵便局などの窓口で納付書を提示して納付します。
手数料は不要で、領収証書も発行されます。
クレジットカード
インターネットやスマートフォンを利用して、クレジットカードで納付できます。
24時間いつでも利用可能ですが、決済手数料がかかります。
コンビニエンスストア
納付金額が30万円以下の場合、コンビニで納付できます。
事前に税務署でバーコード付納付書を発行してもらう必要があります。
税務署の窓口
現金と納付書を持って税務署の窓口で納付します。
ただし、高額な現金を持ち運ぶ必要があるため注意が必要です。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますので、ご自身の状況に合わせて選んでくださいね。
Q14 相続税で物納ができるのは本当ですか?
Q14 はい、相続税の物納は可能です。
ただし、いくつかの条件を満たす必要があります。
物納とは、相続税を現金ではなく、株式や不動産などの財産で納める方法です。
物納が認められるための主な条件は以下の通りです。
延納によっても金銭で納付することが困難であること
まず、延納(分割払い)を試みても金銭で納付することが難しい場合に限られます。
物納できる財産であること: 物納に充てることができる財産は、不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式などに限られます。
非上場株式や動産なども条件を満たせば物納可能です。
納付期限までに申請書を提出すること
物納を希望する場合、相続税の納期限までに物納申請書と必要書類を税務署に提出する必要があります。
物納には手続きが複雑で、財産の種類や条件によっては認められない場合もありますので、専門家に相談することをお勧めします。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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