住宅取得資金の特例 住宅取得のための税制優遇を活用する方法
最終更新日:2024/07/02
住宅取得資金の特例 概要
相続時精算課税の特例は、住宅取得資金の贈与に関する税制優遇措置の一つです。
この制度を利用することで、贈与税の非課税枠を拡大し、住宅取得に必要な資金の贈与を受けやすくすることが目的です。
このページでは相続時精算課税の特例について詳しく解説します。
住宅取得資金の特例に関する非課税措置には期限がある
住宅取得資金の特例に関する非課税措置は令和6年度税制改正において、適用期限を3年間(令和6年~8年)に延長されました。
参照サイト: 国土交通省 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
この期間内に、直系尊属からの贈与により住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。
具体的な手続きや条件については、税務署や専門家に相談することをお勧めします。
また、今後の税制改正によって期限が延長される可能性もありますので(実際に過去にも延長されました。)最新の情報を確認することが重要です。
非課税限度額はいくら?
非課税限度額は、省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までとされています。
相続時精算課税の特例を適用することで、贈与税の非課税限度額は以下の通りとなります:
- 省エネ住宅等: 最大1,000万円まで非課税。
- その他の住宅: 最大500万円まで非課税。
また、既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となります。
手続きの方法
住宅取得資金の特例に関する手続きは、以下の流れで行われます。
書類の準備 必要なもの一覧
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贈与税の申告書
- 非課税の特例の適用を受ける旨を記載したもの。
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戸籍の謄本
- 贈与を受けた人の戸籍を証明するため。
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新築や取得の契約書の写し
- 住宅取得に関する契約の証明。
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住宅性能証明書
- 省エネ等住宅に該当する場合に必要。
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マイナンバーカード等の本人確認書類
- 個人番号の記載が必要なため。
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税務署へ申告を提出する
- 贈与された年の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄の税務署へ贈与税申告を行います。
注意点
相続時精算課税の特例を利用する際には、以下の点に注意が必要です:
- •この特例は、贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、適用を受けることができません。
- •贈与を受けた財産は、贈与者の死亡時に相続財産に含まれるため、将来的な相続税の計算に影響を与える可能性があります。
住宅取得資金贈与の特例が適応になるための条件とは
どんな人が贈与を受けていいの?
- 1 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
- 2 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
- 3 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)。
- 4 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。
- 5 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
- 6 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
- 7 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
どんな人が贈与をしていいの?
贈与者は受贈者の直系尊属である必要があります。
これには父母や祖父母などが含まれますが、配偶者の父母は直系尊属には該当しません。ただし、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
贈与者の年齢要件はなく、夫婦でそれぞれが贈与を受けることも可能です。
取得する住宅の条件とは
- 1 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であること。
- 2 省エネ等住宅の場合には、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること。
- 3 床面積の2分の1以上が受贈者の居住用に使用されている
- 4 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること。
- 5 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること。
中古住宅でも耐震基準に適合することが一定の書類によって証明された中古住宅も対象です。
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まとめ
相続時精算課税の特例は、住宅取得資金の贈与に関する税制優遇措置として有効ですが、利用する際には条件を満たすことが重要です。
また、将来の相続税の負担にも影響を及ぼすため、専門家のアドバイスを受けながら検討することをお勧めします。
参考リンク
国税庁
パンフレット「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税非課税」等のあらまし
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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