相続手続きの流れ 初めから最後まで相続の全行程
最終更新日:2024/04/02
相続手続きの流れ
遺産相続の手続きは複雑で、多くの段階を含んでいます。
まず、相続が発生すると、相続人や遺産の具体的な状況に応じて、さまざまな手続きが必要になります。
しかも相続放棄や相続税の申告など、期限内に行う必要がある手続きも含まれていますので、特に注意が必要です。
相続手続きには2〜3ヶ月掛かるのが一般的
一般的に、相続手続きは、被相続人の死亡から遺産分割協議書の作成まで、少なくとも2~3ヶ月はかかるとされています。
しかし、遺言が存在する場合や、相続人の中に未成年者や認知能力が不十分な方がいる場合、または相続人同士で紛争が生じている場合などといった特殊なケースでは、さらに時間がかかることがあります。
相続税の申告が必要な場合には、手続き全体が半年程度を要することもあります。
こういった手続きは時間がかかるだけでなく、非常に複雑であるため、一人で正確に完了させるのは困難です。
もし手続きに不安を感じたり、疑問がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
当窓口では相続手続きに関する無料相談を実施おりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
下記に遺産相続の手続きの流れを示すフローチャートをご用意しましたので、このフローチャートを参考にしながら、遺産相続の全体像を確認していただければと思います。
遺産相続のフローチャート
相続手続きの流れ
1.遺言書の有無の確認
遺言書がある場合、遺産の分割方法は遺言の内容が優先されます。 そのため、まずは遺言書の有無を確認する必要があります。
遺言書の有無は、相続手続きにおいて重要な確認事項です。
遺言書がある場合、故人の意志が明確に示されており、相続人や遺産分割の方法が指定されていることが多いです。
これにより、相続人間の紛争を防ぎ、スムーズな遺産分割を促進することができます。
一方で、遺言書がない場合は、法定相続分に従って遺産が分割されますが、相続人間で意見の対立が生じる可能性があります。
そのため、遺言書の有無によって、相続手続きの流れや必要な手続きが大きく変わることがあり、事前に適切な準備と理解が求められます。
遺言書がある場合でも、その内容が法的に有効であるかどうか、また、遺言書に基づく手続きが適切に行われているかどうかを確認することが重要です。
遺言書がない場合は、相続人全員の合意に基づく遺産分割協議が必要となります。
どちらの状況でも、専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。
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2.相続人の調査・確定
相続人が誰であるかを正確に把握することは、相続トラブルを防ぐためにも必要です。
相続故人の戸籍謄本を収集し、法定相続人を明確にすることで、遺産分割協議や相続税申告などの手続きがスムーズに進みます。
戸籍謄本の取得から読み取り、相続人の確定までの流れは複雑であり、専門家に相談することも一つの選択肢です。
相続人が明らかでない場合、遺産分割協議が無効となるリスクもあるため、正確な手続き、調査が必要となってきます。
3.相続財産の調査
相続手続きにおける財産調査と確定は、故人が残した財産を明らかにし、遺産分割や相続税申告の基礎とする重要な手続きです。
まず、故人の財産を全て把握し、どれ程の財産があるのかを確定させる必要があります。
現金や預貯金、不動産といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も相続財産に含まれますので注意が必要です。
調査の具体な方法としては、銀行の残高証明書の取得や不動産の評価証明書を取得し、どんな財産があるかを調べます。
また、デジタル資産のような新しい形態の財産も考慮に入れる必要があります。
相続放棄をする場合は期限内に財産調査を完了させることが求められるため、相続が開始されたら迅速に行動を起こすことが大切です。
適切な財産調査は、相続手続きをスムーズに進めるための第一歩と言えるでしょう。
4.相続放棄・限定承認の手続き
相続放棄は、故人の財産だけでなく負債も一切引き継がない決断を意味します。
一方、限定承認は、故人の負債を財産の範囲内でのみ負担する選択です。
これにより、相続人は自己の財産を守りつつ、故人の財産を引き継ぐことが可能になります。
相続放棄や限定承認を行うには、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
手続きは複雑であり、必要な書類の収集や申述書の作成など、多くの手続きを行う必要があります。
また、相続人全員の合意が必要であるため、相続人間のコミュニケーションも重要です。
限定承認を選択した場合、相続財産の清算手続きを行い、債権者への公告を行うなど、さらに詳細な手続きが求められます。
適切な手続きを行うことで、相続人は故人の意志を尊重しつつ、自身の財産を守ることができます。
5.遺産分割協議
相続人全員で誰がどの財産を相続するのか協議を行います。
遺言書がない場合、相続人全員が協議を通じて遺産の分割方法を決めます。
この協議には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割といった複数の方法があります。
遺産分割協議は、相続人の意向を尊重し、公平な分割を目指すために行われます。
しかし、意見の対立がある場合は、調停や審判を通じて解決を図ることもあります。
遺産分割協議を適切に行うことで、相続に関するトラブルを未然に防ぎ、円滑な相続手続きを実現することができます。
相続登記の申請にも影響があるため、早めに協議を開始し、必要な書類を整えることが重要です。
遺産分割協議は、相続手続きの中心となる部分であり、相続人各自の権利と義務を明確にする事ができます。
6.相続税の申告
故人の財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要になります。
基礎控除額は、3,000万円プラス600万円を法定相続人の数で乗じた金額です。
申告期限は、故人の死亡日の翌日から10ヶ月以内と定められており、この期間内に申告書の提出と相続税の納付を完了させなければなりません。
申告書の作成には、相続財産の評価や財産目録の作成など、複数の手続きが伴います。
相続税申告は複雑であり、多くの方が専門家に依頼しています。
適切な申告を行うことで、故人の意志を尊重し、相続人の財産を守ることができます。
7.遺産の名義変更等
遺産分割協議の内容に基づいて預貯金の解約や払戻し、不動産の名義変更等を行います。 なお、名義変更には特に期限がありませんが、放置すると後々トラブルにつながりますので、早めに済ませておくようにしましょう。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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