後見の失敗事例 思わぬ落とし穴があった事例をご紹介
最終更新日:2024/03/09
後見の失敗事例
こちらのページでは実際におこった成年後見制度にまつわるの失敗事例をご紹介いたします。
多くの失敗事例から学び、教訓にする事で、過ちが起こらないように予防しましょう。
兄夫婦が勝手に4,000万円もの財産を使い込んでいた事例
状況
田中銀次さん(仮名)85歳は認知症と診断されました。銀次さんの奥さんは既に他界されています。
銀次さんには兄と弟の2人の息子がいて、これまでの財産管理は兄の聡さん夫婦が行ってきました。
しかし、弟の孝さんは兄夫婦の管理に反対し、聡さん夫婦が銀次さんの財産を狙っていると疑っている状況でした。
兄の聡さんからのご依頼
今回、聡さんはこの状況を解決するために司法書士に成年後見人になってもらいたいと考え、依頼をしてきました。
自分で父の面倒を見るよりも第三者に管理してもらう方が弟も納得するだろうとの事でした。
使い込みの発覚
田中さんはマンションやアパート経営を通じて安定した収入を得ており、毎月約100万円の収益がありました。
しかし、調べていく内にそのたくさん残ってあるはずのお金が全く残っていないことが発覚しました。
司法書士が聡さんに詳細を尋ねたところ、実は聡さん夫婦が親の資金を使い込んでいたという事実が明らかになりました。6年間にわたる管理の結果、使い込まれた金額は4,000万円に膨らんでいました!
結局、使い込みは隠し通せなかった
孝さんは以前から聡さんを疑っており、聡さんは使い込みの発覚を恐れて、そのプレッシャーの中で成年後見制度の利用を考えたのです。
孝さんからの疑念を払拭し、家族の和解を図るためにも第三者である司法書士の力を借りることが最善の策と判断し、なんとかお金の使い込みを隠したかったのでしょう。
しかし、結局は使い込みが発覚してしまい、兄弟の仲は修復不可能な域まで険悪となってしまいました。
改善策 使い込みは必ずバレます
兄弟間や親子間での金銭的なトラブルはしばしば深刻な対立を引き起こすため、最初から成年後見の専門家である司法書士に後見人を依頼することが賢明です。
このような状況では、家族間の信頼関係が崩れることが多く、特に財産管理に関する責任があると、その重圧は計り知れません。
留学中に母が入院 叔父にほとんどの財産を取られてしまった悲劇
状況
佐藤瞳さん(仮名)70歳は1人娘の京子(仮名)さんと母子家庭でした。
瞳さんは最近健康を害し入院しなければならなくなりました。
判断能力に問題はありませんが、身体が動かせずほぼ寝たきりの状態です。
留学中の娘にかわって母の兄が面倒を引き受ける
その時、娘の良子さんは海外留学中でお見舞いやお世話ができません。そこで出てきたのが瞳さんの弟で、京子さんの叔父である直樹さんでした。
瞳さんが自分で入院費等の支払いができない状態なので、叔父が財産管理委任契約を締結し、瞳さんの財産を叔父が預かることになりました。
※財産管理委任契約について詳しくはこちらをご覧ください。
娘の知らないうちに母の財産が取られていた
財産管理の叔父への報酬は月額10万円で、さらにとんでもない事に、瞳さんの病状が悪化すると大部分の財産を叔父に受け継げるような遺言を書かせてしまいました。
京子さんは母親が入院している事は知っていましたが、症状の重さや、叔父が勝手に財産管理委任契約まで結んでいる事などは一切知らされていませんでした。
やがて瞳さんが亡くなり、娘の京子さんが急いで帰国した際に、母親の遺産を確認してみるとほとんど無くなっていました。
叔父との泥沼の争い 契約の無効を訴えて裁判にまで発展
京子さんは信頼して任せていた叔父に裏切られ、ショックを隠しきれません。しかし悩んでる時間は無く、急いで遺産を取り返すために叔父と話し合いを試みます。しかし叔父は全く取り合ってくれませんでした。
結局話し合いや調停で解決出来ず、膨大な時間や多額の弁護士費用をかけて裁判をするはめになってしまいました。
改善策 欲の強い身内に任せるとトラブルの元になる
このような家族や親族間での財産管理は非常に甘くなりがちで、結果として親族、兄弟同士で争いが起こり、大きな苦しみをともなう事があります。
このような状況を避けるためには、成年後見の専門家である司法書士などの第三者に財産管理を頼む事を検討するべきかと思います。トラブルを未然に防ぐ事ができ、特定の人だけに肩入れする事もなく安心です。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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