成年後見の申立について徹底解説
最終更新日:2024/02/29
成年後見とは
成年後見制度
「判断能力が低下した認知症、知的障害、精神障害、などの方に対して、家庭裁判所がその方の利益を守るために、代わりになってくれる人を指定する制度が成年後見制度です。
未然に詐欺を防止できる可能性も
例えば、一人暮らしの高齢者が詐欺師に騙されて高額な商品を購入させられたり、お金を騙し取られるといった事例を最近多く聞きますが、この様な場合にも成年後見制度を活用することで未然に被害を回避できる可能性があります。
後見人を選ぶ基準
成年後見人の選び方は以下の4つのポイントが重要です
- ・信頼できる人:大切な決定を任せる人なので、お互いの信頼性が必要です。
- ・専門知識:財産を管理する際の事を考えて法律知識に富んだ人が望ましいです。
- ・利益の一致:被後見人の利益を最優先に考える人が理想です。
- ・地理的な近さ:緊急時など必要な時にすぐ対応できるよう、近くに住んでいる人が望ましいです。
これらを基に、最適な人を選びましょう。専門家の助けを借りることも一つの方法です。
後見人の選び方について詳しくはこちらをご覧ください。
後見人の役割
財産管理
- ・貯金の入出金の状況を確認し、必要な支払いを行うこと
- ・被後見人の土地に隣人が物を置いていると、その土地を隣人に時効取得される恐れがあるので訴状を行う。
- ・後見費用捻出のための不動産などの売却
- ・管理の必要上、必要であれば訴訟行為を行うこと
- ・確定申告や納税
身上監護
- ・治療、入院に関し病院と契約すること
- ・健康診断などの受診手続き
- ・住居の確保(賃貸借契約)をする
- ・施設などの入退所に関する手続き
- ・施設や病院の処遇を監視し、本人に不利益がある場合は、改善要求する
- ・要介護認定の手続きや介護サービス事業者と介護サービス契約をする
- ・介護サービスが契約どおりか確認し、異なる点がある場合は、改善要求する
- ・教育・リハビリに関する契約をする
- ・訪問などにより本人の状況を見守る
家庭裁判所への報告
- 後見人は、本人の財産の状況や自分の行った業務について毎年家庭裁判所に報告しなければなりません。
- ・毎年1回の収入と支出の報告
- ・財産を処分したり、財産管理の方針を大きく変更するとき(遺産分割・相続放棄)
- ・本人の入院先・氏名・住所・本籍、又は成年後見人の住所・氏名が変わったとき
- ・療養看護の方針を大きく変えるとき
- ・本人死亡時の成年後見登記申請
- ・財産目録を作成して、財産を引き渡す。
- ・成年後見の終了報告
申立に必要な書類
まずは病院で必要書類を揃える
申立をする前に、医師に「診断書(成年後見制度用)」及び「診断書付票」を作成してもらってください。
現住所を基準に管轄の家庭裁判所を調べる
成年後見制度を利用するには本人の現住所の管轄の家庭裁判所に申し立てる必要があります。
申し立てに必要な書類と費用はおよそ以下のとおりですが、裁判所により異なる場合がありますので、詳細は申立先裁判所にご確認ください。
必要な書類一覧
-
- ・申立書(定型の書式が家庭裁判所に行けば無料でもらえます)
- ・申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき)
- ・本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記されていないことの証明書または登記事項証明書、診断書各1通
- ・成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票の写し、身分証明書、登記されていないことの証明書 各1通(候補者がいる場合)
- ・申立書付票
- ・本人に関する報告書(管轄裁判所によって、取り扱いが異なります。)
- ・その他、具体的な状況に応じて必要となる書類(例:財産目録、親族関係図、親族の意見書など)
後見申立てに必要な費用
管轄の家庭裁判で確認を
以下の費用は、申立てをする裁判所に提出する必要があります。また、申立てに必要な収入印紙・郵便切手も準備する必要があります。具体的な手続きや書類の詳細については、各地の裁判所のウェブサイトや窓口で確認することをお勧めします。
全国各地の家庭裁判所一覧はこちらをご覧ください。
必要な費用一覧
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- 1)収入印紙
- 2)送達・送付費用(審判書を送付したり、登記の嘱託などに必要な郵便切手です。後見申立てには3720円分が必要です。
- 3)登記費用
- 4)鑑定費用(本人の判断能力がどの程度あるかを医学的に判定する手続き費用です。およそ10万円~20万円程度の費用が必要です。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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