遺産分割協議書の作り方

最終更新日:2024/11/06

遺産分割の協議が終わったら遺産分割協議書を作成しましょう

ここでは、遺産分割協議書の作り方についてご説明いたします。

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書にその内容を記載します。

遺産分割協議書は記録を残してトラブルを事前に防ぐ意味もありますが、それ以上に不動産の相続登記預貯金の名義変更などで必要になり実務面において作成が必要です。

また相続税を申告する人は遺産分割協議書が配偶者の税額軽減の特例を受けるための添付資料になります。

遺産分割協議書の作り方のポイントを押さえておきましょう。

決まった書式はある?

遺産分割協議書にはとくに決まった書式はありません。手書きやパソコンの印刷どちらでも大丈夫です。縦書き、横書きも問いません。

用紙

紙の大きさに制限はありません。

署名・押印

相続人全員が遺産分割協議書に署名し、実印を押印してください。

実印

必ず実印を使う

遺産分割協議書が複数ページにわたるときは、相続人全員の実印で契印してください。

契印

協議書が2、3枚ある場合はこのように実印で契印します。

契印

ページが多い場合は製本テープでとめて表と裏に契印します。

法務局では、少しの記入ミスでも訂正を求めますので、できれば捨印があった方がいいでしょう。捨印を押すのを嫌がる相続人がいるときは、チェックして間違いがないことを確認しましょう。

署名の後ろに捺印する実印は、鮮明に押印する必要があります。

財産の表示

不動産の場合、住所ではなく登記簿どおりの表記にしてください。銀行等は、支店名・口座番号まで書いてください。

日付

遺産分割協議書の相続人が署名、押印した日付は、遺産分割の協議をした日か、あるいは最後に署名した人が署名した日付を記入するようにしましょう。

相続人の住所・氏名

必ず、相続人本人に署名してもらいましょう。住所、氏名は、印鑑証明書に記載されているとおりに記載します。

印鑑証明書の添付

押印した実印の印鑑証明書を添付します。

作成にあたって注意すべき2つの事

誰がどの財産を所得したかが明確な分かること

特に財産については当事者以外の第三者が見てもすぐに分かるようにします。不動産であれば登記簿の通りに記載します。預貯金については支店名、口座番号、残高を正確に記載しましょう。

分割協議が成立した事を証明する

相続人全員が署名捺印もしくは記名押印して協議が適正に成立した事を照明しましょう。印鑑は必ず実印を使って住所は印鑑証明書の通りに記載しましょう。

その他にもトラブルを防ぐために相続人の間で取り決めた債務の分割方法や代表分割がある場合の代償金額や支払い条件なども記載しておきましょう。

遺産分割協議書の作成例

 

遺産分割協議書

〇〇年〇〇月〇〇日に死亡した被相続人佐藤太郎の相続人である佐藤一子、佐藤一郎、山田二子は被相続人の遺産の分割について協議し、次の通り分割する事に同意した。

1. 佐藤二郎と山田二子は次の遺産をそれぞれ2分の1ずつの割合で取得する。

東京都練馬区練馬11丁目22番33号所在
宅地190平方メートル

上同所同番所在 家屋番号1番3号 木造
床面積1階75平方メートル 2階55平方メートル

※不動産については登記簿の記載通りにする

2. 佐藤一子は次の遺産を取得する。

〇〇銀行〇〇支店の普通預金
口座番号1234567    7,500,000円

3. 山田二子は次の遺産を取得する。

〇〇銀行〇〇支店の定期預金
口座番号1122334   4,000,000円
△△株式会社株式 3,000株
株式会社〇〇株式  6,000株

※財産は第三者が特定できるように具体的に記載する

4. 佐藤一郎は第一項に記載の遺産を取得する代償として山田二子に対し〇〇年5月末日までに金5,000,000円を支払うものとする。

※代償分割があれば内容や条件を明記する

5. 本協議書に記載のない遺産および後日判明した遺産は、佐藤一子が取得する。

以上のとおり遺産分割協議が成立したので、本協議書3通を作成して署名押印のうえ、各自1通ずつ所持するものとする。

〇〇年〇〇月〇〇日

東京都練馬区練馬11丁目22番33号佐藤
相続人 佐藤 一子

東京都練馬区練馬1212丁目1212番1212号佐藤
相続人 佐藤 一郎

東京都練馬区練馬77丁目77番77号山田
相続人 山田 二子

※住所は印鑑証明の記載通りに記載し、相続人全員の署名捺印(記入押印)市区町村に届け出た実印を使用する。

参照サイト: 法務局 相続(遺産分割のとき)記載例

まとめ

遺産分割協議書の必要性

遺産分割協議書は、相続人全員が合意した内容を明確にするために作成します。

これにより、後々のトラブルを防ぐ事ができます。

記載内容

相続人の情報

全ての相続人の氏名と続柄を明記します。

被相続人の情報

被相続人(亡くなった方)の氏名、死亡日、最後の住所などを記載します。

相続財産の詳細

誰がどの財産を相続するかを具体的に記載します。例えば、不動産なら所在地や地番、預貯金なら銀行名や口座番号などを明確にします。

署名捺印

遺産分割協議書には、全ての相続人が法的効力をつける為に実印で署名捺印する必要があります。

実印での署名捺印により、協議書が法的効力のある正式な文書として認められ、相続手続きがスムーズに進みます。

また、全員の署名捺印があることで、後から「同意していない」といったトラブルを防ぐ事ができます。

遺産分割協議書の作成は、相続手続きを円滑に進めるために非常に重要です。

しかし作り方を間違えると効力が生じなくなってしまうことがありますので、作成される際は専門家にご相談することをお勧めします。

この記事を書いた司法書士

司法書士 鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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