相続放棄の相続順位 最後は誰に順番がまわる?

最終更新日:2024/09/10

相続放棄をする場合、相続人の順位や順番が重要です

相続人の順位とは

相続人の順位はこのように定められています。

常に相続人 被相続人の配偶者
第1順位 被相続人の子(直系卑属)、孫(被相続人の子が亡くなってる場合のみ)
第2順位 被相続人の父母・祖父母(直系尊属)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹、おい、めい(被相続人の兄弟姉妹が亡くなってる場合のみ)

配偶者に相続順位がないのはなぜ?

配偶者には相続順位がない理由は、配偶者が常に相続人として優先されるためです。

民法第890条に基づき、配偶者は他の相続人が誰であっても、必ず相続人となります。

相続順位がないというのは、配偶者が他の相続人(子供、直系尊属、兄弟姉妹など)と関係なく、必ず相続権を持つことを意味します。

そのため、配偶者が相続放棄をしても、他の相続人の順位が変わることはありません。

直系尊属とは

直系尊属とは自分より前の世代にあたる親族のことを指します。具体的には、父母、祖父母、曾祖父母などが直系尊属に該当します。

直系卑属とは

これに対して、自分より後の世代にあたる子供や孫などは「直系卑属」と呼ばれます。例えば、自分の父母や祖父母は直系尊属ですが、自分の子供や孫は直系卑属です。

直系尊属と直系卑属も、どちらも日常会話ではあまり使わない言葉ですが相続の際に良く使われる言葉ですので覚えておくと便利です。

相続放棄の順番について必ず知っておきたい6つの事

① 相続放棄をすると最初から相続人でなかったものとみなされる

相続放棄が認められると、その相続人は初めから相続人でなかったものとみなされ、相続人としての地位も放棄されます。※民法第939条参照

これにより、次の順位の相続人に相続権が移ります。

ちなみに相続放棄をすると相続人の地位も無くなるため代襲相続も発生しません。

② 配偶者は常に相続人

配偶者は常に相続人となり、第1順位の相続人と共同で相続放棄できます。

もし第1順位の相続人が存在しなければ第2順位以降の相続人と共に放棄できます。

もし配偶者がいなければ最も相続順位が高い人に相続権が行きます。

③ 相続権は第一順位の人が相続放棄し終わると、第二順位以降へ相続権が移っていく

直系尊属が相続放棄をすると、次の順位の相続人に相続権が移る仕組みになっています

④ 第2順位以降は第一順位の相続人がいない、もしくは全員放棄した後でないと相続放棄できない

相続放棄に関して、第2順位以降の相続人が相続放棄をするためには、まず第1順位の相続人がいないか、全員が相続放棄をしている必要があります。

相続の順位が法律で定められているため、第二順位以降の人は自分の順番を把握しておきましょう。

⑤上の順位の人の相続放棄が終わった時点で、期限はいったんリセットされる

相続放棄の期限は相続発生から3ヶ月以内ですが、第一順位の人の手続きが終わったのが2ヶ月半後だった場合は期限がギリギリとなってしまいます。

こんな場合でも困らないように、下の順位の人は、上の順位の人の相続放棄が完了したら、期限がいったんリセットされます。

⑥ 相続放棄の順番は第3順位で終わり

相続権がさらに遠い親戚に移る事はありません。第3順位で打ち止めです。

基本的な相続放棄の順番

① 配偶者と第1順位の相続人が相続放棄をする

被相続人の配偶者と第1順位の相続人(被相続人の子供)が全員相続放棄をすると、その相続権は第2順位の相続人(被相続人の父母・祖父母)に移ります。

もしも配偶者と子供がいなければ②から始まります。

配偶者だけいる場合は?

配偶者単独で相続放棄するか、他の相続人と同時に相続放棄します。

子供だけいる場合は?

1番最初に子供だけで相続放棄します。他の順位の相続人と同時に相続放棄の申請はできません。

下向きの矢印

② 第2順位の相続人が相続放棄

もし第1順位の相続人が全員いない、もしくは相続放棄をした場合、次に第2順位の相続人が相続権を持ちます。

下向きの矢印

③ 最後は、第3順位の相続人が相続放棄

第2順位の相続人がいないか、全員相続放棄をした場合、その相続権は第3順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹)に移ります。

兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子供のおい、めいが相続放棄する必要があります。

相続放棄で親族に順番が周ってくるのはここで最後です。最終的には被相続人の兄弟姉妹や、おい、めいまで相続権が行くので注意が必要です。

 よくある具体的な例

① 被相続人に配偶者と子供がいる場合

配偶者は常に相続人となり、相続割合は1/2です。子供が相続放棄をした場合でも、配偶者の相続割合は変わらず、残りの財産は次順位の相続人(直系尊属や兄弟姉妹)に移ります

② 被相続人に子供がいない場合

親が相続人となりますが、親が相続放棄をすると、祖父母が相続人となります。

祖父母も相続放棄をすると、次に兄弟姉妹が相続人となります。

③ 被相続人の親が亡くなっていて、子供と配偶者、兄弟姉妹がいる場合

被相続人の親がすでに亡くなっている場合、相続人は配偶者と子供になります。

もし子供が相続放棄をした場合、その子供は最初から相続人でなかったものとみなされます。

子供が相続放棄

配偶者と兄弟姉妹が相続人です。子供が相続放棄を終えた後に兄弟姉妹で相続放棄します。

配偶者が相続放棄

子供と兄弟姉妹が相続人です。

子供と配偶者が相続放棄: 兄弟姉妹が相続人になります。 このように、相続放棄が発生すると次の順位の相続人に権利が移るため、順番に注意が必要です。 何か他にご質問があれば教えてくださいね。

通常の相続手続きと相続放棄の違い

通常の相続手続きは被相続人に配偶者か子供がいれば、直系尊属(親や祖父祖母)や兄弟姉妹に相続権が移る事はありません。

しかし相続放棄の場合は、第一順位の子供が相続放棄を行えば第二順位や第3順位の直系尊属や兄弟姉妹に次々と相続権が移って行きます。

  通常の相続手続き 相続放棄
相続人同士の話し合い 財産の分け方で、話し合いが必要 必要なし(個人で自由に決められる)
期限 不動産のみ3年以内と決まっているが、その他の財産は特になし。 プラスもマイナスも含めて財産があると知ってから3ヶ月以内
債務の扱い 債務も引き継ぐ 引き継がない
プラスの財産を受け取れるか 受け取れる 受け取れない
手続きを行う場所 法務局や金融機関や税務署 家庭裁判所(被相続人最後の住所地の管轄)
代襲相続 あり あり
相続権の移動 なし あり(相続順位が上の人が全員相続放棄をしたら他の相続人に相続権が移る)

配偶者が相続放棄する場合どうする?次は誰に相続権が移る?

配偶者は他の相続人と同時に相続放棄できる!同時に放棄できる人一覧

相続放棄は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。

配偶者と他の相続人が同時に相続放棄を行うことで、この期限内に手続きを完了させることが容易になりますので、手続きを早く終わらせるためにも配偶者は他の相続人と同時に手続きを行うのがおすすめです。

①子供

被相続人と配偶者の子供。

子供が何人いても同時に相続放棄をする事ができます。

例えば、被相続人に3人の子供がいる場合、配偶者と3人の子供達、同時に相続放棄が出来ます。

②子供がいない場合の直系尊属(親や祖父母)

子供がいない場合、被相続人の親も同時に相続放棄をすることができます。子供がいる場合は子供の相続放棄が完了してからでないと放棄ができません。

③子供や直系尊属もいない場合の兄弟姉妹

子供も直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹も同時に相続放棄をする事ができます。

子供や直径尊属がいる場合は、そちらの放棄が完了してから相続放棄を行います。

④子供が亡くなってる場合の孫

もしも被相続人と配偶者の子供が先に亡くなっていて、その子供に子供がいた場合は、代襲相続としてその子供(配偶者から見たら孫)が相続の第一順位になります。

被相続人の子が相続欠格(法律上相続権を失う行為)や廃除(被相続人の意思により相続権を失う)に該当する場合も、孫が代襲相続人となります。

そのため配偶者と孫、同時に相続放棄する必要があります。

⑤他に相続人が全くいない場合のおい、めい

レアなケースですが、相続人が配偶者と被相続人のおい、めい以外いない場合は同時に相続放棄が出来ます。

おい、めいに最初から相続権がある全ての条件

• 被相続人に子供がいない

• 被相続人の親が亡くなっている

• 被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている

• 亡くなった兄弟姉妹の子供(おい、めい)がいる

以上の条件が全て揃えば、他に相続人が全くいない為、第三者順位である、おい、めいに最初から相続権が行きます。

配偶者に子供がいる場合、相続放棄はどのように行うべき?

配偶者に子供がいる場合は子供と同時に相続放棄を行います。

 配偶者と子供が同時に相続放棄を行う事で、次の相続人に相続権が速やかに移行します。

次の相続権は誰に移る?

配偶者と子供が同時に相続放棄をした場合、直系尊属が相続人となります。

例えば、被相続人の親が存命であれば、その親が相続権を持ちます。

直系尊属もいない場合は、次に兄弟姉妹が相続権を持つことになります。

配偶者に子供がいない場合、相続放棄はどのように行うべき?

直系尊属(親や祖父母)がいる場合

被相続人に子供がいない場合は相続権は直系尊属(親か祖父母)に移りますので、配偶者と直系尊属で同時に相続放棄を行います。

例えば、被相続人の親が存命であれば、親が相続人となります。

兄弟姉妹がいる場合

直系尊属が既に亡くなっている場合は、最後に兄弟姉妹が相続人となりますので配偶者と兄弟姉妹同時に相続放棄します。

子供が相続放棄したい場合の順番はどうなる?

子供の相続順位

子供の相続順位は第一順位で、まず初めに相続放棄の手続きを行う必要があります。

被相続人の配偶者(子供から見たら親)がいる場合は、子供と同時に相続放棄できます。

1 子供と配偶者(子供から見たら親)がいる場合

1番初めに子供と配偶者、同時に相続放棄します。

次は第2順位である被相続人の直系尊属(親や祖父)に相続権が移ります。

2 子供がいて、配偶者がいない場合

配偶者がいない場合は第一順位の子供のみで相続放棄を行います。子供が何人いても同時に相続放棄ができます。

子供が放棄したら次の相続権はどうなる?

子供の相続放棄が完了したら第2順位の直系尊属(父母や祖父母)へ相続権が移ります。

直系尊属がいない場合は、被相続人の兄弟姉妹か、おい、めい(兄弟姉妹が亡くなってる場合)に相続権が移ります。

孫が相続放棄をしたい場合、順番はどうなる?

孫に相続放棄がまわってくる条件

(被相続人の)子が先に亡くなっている場合

被相続人の子が被相続人よりも先に亡くなっている場合、その子の子供(被相続人の孫)が代襲相続人となります。

(被相続人の)子が相続欠格や廃除に該当する場合

相続欠格とは

法律に定められた重大な事由により相続人の資格を失うことです。

例えば、被相続人を故意に殺害したり、遺言書を偽造したりした場合が該当します。

※詳しくはこちら

相続人排除とは

被相続人が生前または遺言で特定の相続人を相続から排除する手続きを指します。

これは、相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱を行った場合などに適用されます。

親が相続欠格や相続人排除に該当する場合、その親は相続権を失います。

しかし、相続権を失った親の子供(つまり孫)は、代襲相続として相続権を引き継ぐ事ができます。

これは、相続欠格や相続人排除が親に適用されても、その子供には影響を及ぼさないためです。

相続人が被相続人よりも先に亡くなっている場合、その相続人の子(被相続人の孫)が代わりに相続することを指します。

例えば、祖父が亡くなり、父親が相続欠格に該当する場合を考えます。この場合、父親は相続権を失いますが、父親の子供(孫)が代襲相続として祖父の財産を相続することになります。 同様に、父親が相続人排除に該当する場合も、父親は相続権を失いますが、孫が代襲相続として相続権を引き継ぎます

※代襲相続について詳しくはこちら

孫の他に(被相続人の)配偶者がいる場合

孫は相続順位が1番なので、配偶者と同時にすぐに相続放棄手続きを開始します。

期限は相続が発生してから3ヶ月です。

手続きが終わったら、次は誰に相続権の順番が移る?

第1順位の孫の手続きが終了したら、第2順位の(被相続人の)親や祖父母に相続権が移ります。第2順位の相続人が亡くなっている場合は第3順位の(被相続人の)兄弟姉妹に相続権が移ります。

直系尊属(親や祖父母)が相続放棄したい場合どうする?

直系尊属の相続順位

相続権は第二順位です。

第一順位である子供などが居ない、もしくは全員相続放棄が完了したら、すぐ相続放棄の対象となります。

1 被相続人の配偶者だけいて、子供がいない場合

第一順位の子供などがいないので、相続権が最初にありますので相続放棄手続きをすぐに開始します。

配偶者と同時に相続放棄できますし、直系尊属だけでも相続放棄ができます。

配偶者は他の相続人と同時に相続放棄が出来るので、時間を節約したければ同時に放棄すると良いでしょう。

2 被相続人の配偶者と子供がいる場合

被相続人の配偶者と子供がいる場合は、配偶者の相続放棄が終わってなくても放棄は出来ますが、第一順位である子供の相続放棄が終わってからでないと相続放棄は出来ません。

時間の節約のため、大体は配偶者と子供同時に相続放棄するパターンが多いです。

相続放棄を希望する場合は少なくとも第一順位である子供の相続放棄が終わるまで待ちましょう。

3 被相続人の配偶者がいなくて子供だけいる場合

子供が相続放棄をすると、次の直系尊属である祖父母が相続権を持ちます。

第一順位の子供の相続放棄が認められててからでないと、第二順位である直系尊属は相続放棄手続きが出来ないため、子供の相続放棄が完了してから放棄の手続の申請をします。

4 被相続人の配偶者も子供もいない場合

被相続人の配偶者と子供がいなければ、直系尊属に相続権が最初ある状態ですので、すぐに相続放棄手続きを行いましょう。

 

兄弟姉妹が相続放棄したい場合の順番はどうなる?

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、以下のようなルールが適用されます。

兄弟姉妹の相続順位

兄弟姉妹は第3順位の相続人です。つまり、被相続人に子供(第1順位)や直系尊属(父母や祖父母、第2順位)がいない場合に相続権を持ちます。

異父・異母兄弟姉妹の相続について

異父・異母兄弟姉妹の場合、相続分は全血兄弟姉妹の半分になります。

相続順位は第3順位ですので、第1、第2順位の相続人の放棄が終わり次第、他の兄弟と同時に相続放棄を行います。

(被相続人の)子供と配偶者がいて親が亡くなっている場合

被相続人に子供と配偶者がいる場合、第1順位である子供の相続放棄が完了したら、兄弟姉妹も相続放棄の手続きが始められます。

第3順位の親は既に亡くなっているので、第1順位の手続きが終わり次第、すぐに第3順位である兄弟姉妹に順番が移ってくるので、第1順位の人の相続放棄手続きが終わるまで待ちましょう。

兄弟姉妹の相続放棄が完了したら次の順番はどうなる?

相続放棄の順番はここで止まります。兄弟姉妹に子供がいたとしても、そちらには相続権が移りません。

もしも兄弟姉妹が既に無くなっていた場合に限り、その子供(甥や姪)が代襲相続しますが、兄弟姉妹が生きていれば相続放棄は必要ありません。

被相続人のおい、めいが相続放棄したい場合どうする?

おい、めいの相続順位

おい、めいの相続順位は第3位です。

おい、めいに相続権が移ってくる条件

おい(甥)やめい(姪)に相続権が回るのは、以下の2つの条件がすべて揃った場合です。

① 第1順位、第2順位の相続人の相続放棄が終了した、もしくは第1順位と第2順位の相続人が居ない

第1順位である、被相続人の子や孫(第2順位全員相続放棄をすると、次の順位である兄弟姉妹が相続人となります。

またら第1順位や第2順位の相続人全員が最初から死亡や存在していない場合も該当します。

② 被相続人の兄弟姉妹(おい、めいの親)が亡くなっている場合

被相続人の兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、その子供(おい・めい)が代襲相続人となります。

1 被相続人の子供と配偶者、親がいる場合

第1順位の子供と第2順位の親の相続放棄が完了してから、3ヶ月以内に手続きを始めます。期限は第2順位の相続放棄が完了した日から3ヶ月です。

2 被相続人の子供と配偶者だけいる場合

第1順位の子供の相続放棄の手続きが完了した時点から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。

配偶者に関しては、通常は子供と同時に相続放棄を行う事が多いです。

もしも配偶者の手続きが終わってなくても、子供全員が相続放棄していれば、おい、めいだけで放棄できます。

配偶者とおい、めい同時に手続きも可能です。

3 被相続人の配偶者だけいる場合

もしも相続人が被相続人の配偶者とおい、めいのみの場合は、配偶者と同時に相続放棄するか、配偶者とは別件ですぐに相続放棄ができます。

4 相続人が、おい、めいだけの場合

他に相続人が全くいない場合、おい、めいに最初から相続権がまわってくるので早急に相続放棄をする必要があります。

特殊な事情のケース こんな場合どうなる?

相続人が3ヶ月間昏睡状態だった場合

Q.  他事故にあい母とその子供が3ヶ月間昏睡状態でした。

母は亡くなりましたが、子供はさらに3ヶ月昏睡状態が続いています。この場合相続放棄はどうなりますか?

A. 相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。この3ヶ月の期間を「熟慮期間」と呼びます。

昏睡状態の場合 昏睡状態にある相続人が相続放棄を行う場合、通常の手続きが難しいため、特別な対応が必要です。
昏睡状態にある相続人のために、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てることができます。

成年後見人は、相続放棄を含む法的手続きを代行する権限を持ちます。

※成年後見人について詳しくはこちらをご覧ください。

また、家庭裁判所に熟慮期間の延長を申し立てる事ができます。これにより、相続放棄の手続きを行うための時間を確保することができます。

借金が発覚して3日後に急死

Q. 他父の借金が発覚して3日後に兄が急死した場合、兄の子供は相続放棄しなければならないのでしょうか?

A. お兄様の急死と相続放棄 お父様の借金が発覚し、その3日後にお兄様が急死した場合、お兄様の子供(甥や姪)は相続放棄を検討する必要があります。

お兄様が急死したことで、お兄様の相続権はその子供に引き継がれます。

つまり、甥や姪が相続人となり、お父様の借金も含めて相続する事になります。

財産が豊富な祖父と借金しかない父が同時に事故で亡くなった場合

Q. 祖父と父が事故で同時に亡くなりました。祖父には豊富な遺産があるのですが、父にはかなりの借金があります。祖父の遺産と父の借金を相殺したらプラスマイナス0になるかと思います。父の借金は相続放棄をして祖父の遺産は相続できないのでしょうか?

A. 同時に亡くなった場合、民法では「同時死亡の推定」という規定が適用されます。

これにより、同時に亡くなったとみなされる人同士は互いに相続しないとされます。

つまり、祖父と父が同時に亡くなった場合、父は祖父の財産を相続せず、祖父の財産は次の相続人に直接引き継がれます。

祖父の相続

祖父の財産は、父を飛ばして次の相続人(あなたや兄弟姉妹)に直接引き継がれます。

あなたや兄弟姉妹が祖父の財産を相続することになります。

父の相続放棄

父の借金については、あなたや兄弟姉妹が相続放棄を検討する必要があります。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。

申述は、父の死亡を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。

個別の相続放棄

祖父の財産を相続し、父の借金を相続放棄することが可能です。

これにより、祖父の財産を受け取りつつ、父の借金を引き継がないようにすることができます

祖母が亡くなる5日前に母が亡くなった

祖母が亡くなる5日前に

お母様が亡くなった後に祖母が亡くなった場合、お母様の相続権はお母様の子供(あなたや兄弟姉妹)に引き継がれます。

つまり、あなたや兄弟姉妹が祖母の相続人となり、祖母の借金も含めて相続する事になります。

第2順位の(被相続人の)親が認知症

Q. 息子が借金を残して亡くなったのですが、親は認知症で判断能力がなく、自力で相続放棄出来ません。どうすれば良いですか?

A. 親が認知症の場合、相続手続きは複雑になりますが、適切な対応を取ることで解決できます。

成年後見制度の利用

認知症の親が相続人となる場合、成年後見制度を利用することが一般的です。

この制度により、後見人が親の代わりに財産管理や相続手続きを行う事ができます。

また、後見人には報酬が発生します。報酬は月額2万円から5〜6万円程度が一般的です。

成年後見人の選任

後見人の申請手続きは家庭裁判所に申し立て、手続きには1〜3ヶ月程度かかることがありますので、早めに対応することが重要です。

後見人が選任された後、親の財産管理や相続手続きを進めます。

相続放棄を希望する場合、後見人が家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。

※成年後見人について詳しくはこちらをご覧ください。

相続放棄は期限が3ヶ月なのに、相続開始から2ヶ月半も過ぎてしまいました。

Q. 兄が亡くなってから2ヶ月半が過ぎました。その子供達が最近になってやっと相続放棄の手続きを終えました。

しかし期限の3ヶ月まであと2週間しかありません。第一順位の子供達が終わったら次は弟の私の番なのですが、私の相続放棄の手続きは間に合いますでしょうか?

A. 相続放棄の手続きは、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要がありますが、

お兄様のお子様たちが相続放棄を終えたことを知った日から3ヶ月以内に、手続きを行えば大丈夫です。

第3順位である兄弟姉妹は被相続人が亡くなった日が相続開始日ではなく、上の順位の相続人の相続放棄が完了してからが相続開始日となります。

注意点

相続放棄は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

また、相続放棄をしたことは他の相続人に通知されないため、トラブルを避けるためには事前に連絡しておくことが望ましいです。

まとめ

相続放棄は、相続人が相続財産を受け取らないことを選択する手続きですが、その順番や手続きの流れは、法律で定められており、配偶者や子供が第一順位となります。

なぜならば、家族の中で最も近しい関係にある人々が優先されるという考え方に基づいているからです。

子供がいない場合には、親が第二順位となり、親もいない場合には兄弟姉妹が第三順位となります。

異父兄弟や異母兄弟がいる場合、相続分は異なります。

両親が同じ兄弟姉妹に比べて、異父兄弟や異母兄弟の相続分は半分となります。

相続放棄の手続きは、相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。この期限内に手続きを行わないと、相続を承認したとみなされるため、迅速な対応が求められます。

特に、先順位の相続人が相続放棄を行った後に、次の順位の相続人に相続放棄の手続きが完了した事を伝えるコミュニケーションや協力が重要です。

最後に、相続放棄の手続きは法律的な手続きであるため、専門家の助言を受ける事で失敗なく手続きが進められます。

司法書士などの専門家に相談することで、適切な手続きを行い、トラブルを避ける事が出来るでしょう。

この記事を書いた司法書士

司法書士 鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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