相続税の仕組みと申告について解説

最終更新日:2024/08/02

相続税の仕組みと申告

相続税には「基礎控除」という仕組みがあり、遺産の評価額が基礎控除額以下であれば相続税は課税されません。

基礎控除額は以下の計算式で求めます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば、法定相続人が3人(/配偶者と子供2人)の場合、基礎控除額は4,800万円となります。

この場合、遺産の評価額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

基礎控除額を超える遺産がある場合、その超過分に対して相続税が課税されます。

相続税の計算は複雑で、遺産の評価額や相続人の数などによって異なります。

参照: 国税庁 相続税の計算

相続税の申告期限はいつまで?

1. 申告期限の基本

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

この期間内に申告を行わないと、延滞税や加算税が発生する可能性があります。

したがって、早めの手続きを心がけることが大切です。

2. 申告期限の具体例

例えば、被相続人が2024年1月1日に亡くなった場合、相続開始を知った日の翌日は2024年1月2日となります。

この場合、相続税の申告期限は2024年11月2日となります。

この期限までに申告を完了させる必要があります。

申告期限を守るためのポイント

早めの準備

相続財産の評価や法定相続人の確定など、申告に必要な情報を早めに収集しましょう。

専門家の助けを借りる

税理士などの専門家に相談することで、スムーズに申告手続きを進めることができます。

e-Taxの利用

インターネットを利用した電子申告(e-Tax)を活用することで、手続きが簡便になります。

4. 申告期限を過ぎた場合の対応

万が一、申告期限を過ぎてしまった場合でも、速やかに申告を行うことが重要です。

延滞税や加算税が発生する可能性がありますが、早めに対応することでペナルティを最小限に抑える事ができます。

申告書の提出先

相続税の申告書は、以下の2つの場所のどちらかに提出する必要があります

1. 税務署

相続税の申告書は、被相続人(亡くなった方)の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。

管轄の税務署はこちらから調べる事ができます。

2. e-Taxの利用

インターネットを利用した電子申告(e-Tax)を利用することも可能です。

e-Taxを利用することで、申告書の提出が簡便になり、時間や場所を問わずに手続きを行う事ができます。

申告書の提出方法

申告書の提出方法には、以下の2つがあります

税務署へ直接提出

税務署の窓口に直接申告書を持参して提出する方法です。

郵送

申告書を郵送して提出する方法です。

郵送の場合、提出期限内に税務署に到着するように注意が必要です。

相続税の納付方法で例外として「延納」と「物納」があります

相続税は、原則として金銭で一括納付することが求められますが、特定の条件を満たす場合には「延納」や「物納」といった方法で納付することが認められています。

 1. 延納

延納とは、相続税額が大きく、金銭で一括納付することが困難な場合に、年賦(年払い)で納付する方法です。

延納を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります

相続税額が10万円を超えること

金銭で納付することが困難であること

延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること(ただし、延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は担保不要)

延納期間は、相続財産に占める不動産等の割合によって異なり、最長で20年(特定の森林については40年)まで認められます。

ただし延納期間中は「利子税」という利子の支払いが必要となり、本来の相続税よりも多い金額を支払わなければならないので注意が必要です。

2. 物納

物納とは、延納によっても金銭で納付することが困難な場合に、相続財産そのもので納付する方法です。

相続財産の中でも換金が難しい不動産などが多く含まれる場合に利用されることが多いです。

物納を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

①延納によっても金銭で納付することが困難であること。

②最初に国債や地方債、不動産、船舶、次に社債、株式、有価証券、最後に動産といった順番で納付することが定められており、物納する財産が、国税庁が定める一定の種類の財産であること。

ただし、この申請は却下される場合があり、却下された場合には原則通りに現金で支払わなくてはなりません。

相続税の課税価格を計算する方法

相続税がいくらになるかの計算は以下の手順で行われます。

1. 遺産の総額を把握

まず、被相続人が残した遺産の総額を計算します。現金、預貯金、不動産、株式など全ての金額です。

2. 基礎控除額を引く

次に、遺産の総額から基礎控除額を引きます。冒頭でも触れましたが、基礎控除額は以下の式で計算します。

基礎控除額 = 3000万円 + 600万円 × (法定相続人の数)

例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円になります。

3. 課税遺産総額を計算

基礎控除額を引いた後の金額が課税遺産総額となります。

相続税の課税価額=相続財産-非課税財産-相続債務・葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産+みなし相続財産

この計算式の各項目について詳しく解説します。

1. 相続財産

相続財産とは、被相続人が死亡時に所有していた財産のことを指します。具体的には、不動産、現金、預貯金、有価証券、貴金属、骨董品などが含まれます。

2. 非課税財産

非課税財産とは、相続税の課税対象とならない財産のことです。

具体的には、墓地や墓石 仏壇や仏具 公益法人に寄付された財産などです

3. 相続債務・葬式費用

相続債務とは、被相続人が死亡時に負っていた借金や未払いの税金などのことを指します。

また、葬式費用も控除の対象となります。

具体的には、葬儀費用、火葬費用、埋葬費用などが含まれます。

4. 相続開始前3年以内の贈与財産

相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産も、相続税の課税対象となります。

これは、相続税の回避を防ぐための措置です。

5. みなし相続財産

みなし相続財産とは、被相続人の死亡により受け取ることができる財産で、相続財産とみなされるものです。

具体的には、死亡保険金(契約内容によります) 死亡退職金などです。

 

これらの項目を考慮して、相続税の課税価額を算出します。

4. 法定相続分で分配

課税遺産総額を法定相続分に従って各相続人に分配します。

例えば、配偶者が1/2、子供がそれぞれ1/4ずつの場合です。

5. 相続税の税率を適用

各相続人に分配された金額に対して相続税の税率を適用します。

税率は以下の表の通りです

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円以上 55% 7,200万円

6. 各相続人の相続税額を合算

各相続人の相続税額を合算して、家族全体の相続税額を計算します。

7. 実際の相続割合で分配

最後に、実際に相続した割合に基づいて相続税を分配します。

また、配偶者や未成年者など、相続人に応じて控除や加算が行われます。

参考リンク

国税庁 相続税の仕組みの分かりやすい解説「相続税のあらまし」

国税庁 相続税の納税と申告

この記事を書いた司法書士

司法書士 鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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