生前贈与の失敗事例
最終更新日:2024/04/05
目次
生前贈与の失敗事例
このページでは、生前贈与は相続税対策として重要な手段ですが、誤った方法で行うと失敗することもあります。代表的な失敗事例をいくつか紹介します。
暦年贈与の誤った方法を使ってしまった田中さんの事例
暦年贈与は、毎年110万円までの贈与が非課税とされています。
しかし、この制度を利用して毎年同じ相手に大きな金額を贈与する場合、連年贈与とみなされて贈与税が課されることがあります。
背景
田中さん夫婦は、1人息子の健太さんがいました。健太さんは新婚で最近子供が生まれたばかりです。
これから先、家のローンや子供の学費などで、これから一番お金のかかる時期がやってきます。
自分達夫婦の死後まで待っていては孫がとっくに成人して息子にとってお金が必要ない時期に相続が発生してしまうと考え、これからお金のかかる息子の為に生前贈与を行う事を決意しました。
少しでも遺産を多く分ける為に、毎年贈与を行っていました。
もちろん相続税対策として、暦年贈与を利用していると思っていました。
しかし、実際には誤った方法で贈与を行っていました。
問題
田中さんは毎年同じ金額を健太さんに贈与していましたが、その金額が110万円を超えていました。
暦年贈与の非課税枠は110万円までですが、田中さんはこの制度を理解していませんでした。
法的観点
暦年贈与は、毎年110万円までの贈与が非課税とされています。
しかし、同じ相手に毎年同じ金額を贈与する場合、連年贈与とみなされて贈与税が課されることがあります。
解決策:
田中さん夫婦は、専門家に相談し、暦年贈与の制度を正しく理解しました。
毎年の贈与額を110万円以下に調整し、遺言書を作成して遺産の意向を明確にしました。
教訓
生前贈与は相続税対策として有効ですが、正確な知識と適切な方法で行うことが重要です。
専門家のアドバイスを仰ぎながら、遺産の意向を明確にし、法的規定を遵守することをお勧めします。
暦年贈与について詳しくはこちら
贈与後に基礎控除額を超えてしまったパターン
相続時精算課税制度は、相続人が被相続人から受け取る予定の財産を被相続人の生前に受け取っておくことで、贈与税を最大2500万円まで非課税とする制度です。
佐藤さんは、長年築いた財産を子どもたちに残すため、生前贈与の道を選びました。
専門家のアドバイスを受け、計画的に贈与を行い、相続税の節税を目指しました。
しかし、贈与後に予想もしない事が起こりました。近くに新しい駅がつくられる事が決定して、不動産価値が急上昇したのです。
通常なら喜ばしい事なのですが、今回の贈与で贈与税の基礎控除額を超えてしまいました。
結果として、佐藤さんが予想していたよりもはるかに多くの税金を支払うことになり、節税どころか、逆に財政的な負担を増やしてしまいました。
この出来事は、生前贈与が必ずしも節税につながるとは限らないという教訓となりました。
市場の変動や税制の複雑さを考慮せずに行動すると、思わぬ結果を招くことがあるのです。
適切な手続きを行わないと、相続税額が贈与税額を上回ってしまうことがあります。
住宅取得等資金の贈与税の非課税特例の失敗例
住宅取得等資金の贈与税の非課税特例は、住宅取得資金等の贈与を受けた場合に最大3000万円まで非課税とされています。
特例を利用する際には条件を満たすことが必要です。
贈与税の申告期限を見落としていた事例
高橋さんは、自分の子どもたちに財産を残すために、生前贈与を利用することにしました。
しかし、贈与税の申告期限を見落としてしまい、贈与税の申告と納税を怠ってしまいました。
その結果、税務署から遅延税の支払いを求められるはめになりました。
さらに、その間に不動産価値が下落し、高橋さんは贈与した財産の価値が減少したにもかかわらず、高額な税金を支払う羽目になりました。
この経験から、高橋さんは税務申告の重要性と、税務計画の際には専門家の助言を十分に理解することの大切さを学びました。
このように、生前贈与は適切に行われないと予期せぬ税金の負担を招く可能性があります。実際の贈与計画を立てる際には、税理士や専門家と十分に相談し、計画を練ることが大切です。
まとめ
失敗を避けるためには、専門家に相談しながら適切な方法で生前贈与を行うことが重要です。
この記事を書いた司法書士
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【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。
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