最終更新日:2014/05/02

相続放棄の失敗事例

親が亡くなり、相続人は妻と子供2人でした。父親は持ち家に妻と二人で住んでおり、500万円の預金と父親受取人の生命保険金3000万円が相続財産でした。

子供たちも自立していましたので、話し合いの結果母親(妻)に全部遺産はあげようということになったのですが、その方法がトラブルの原因でした。

子供たちは、母親に遺産を全部あげるために相続放棄の方法をとってしまったのです。

確かに、場合によっては相続放棄をすることで放棄しない他の相続人に全部遺産を相続させることはできます。

今回の場合でいうと、他の相続人が母親一人であれば子供たちは相続放棄してもよかったのです。

しかし、今回の場合にはそうではありませんでした。

父親には兄弟が3人いたのです。

これが大きなトラブルのもとでした。

法定相続人という民法の規定がありますが、相続が発生したときに相続人となれる人は、配偶者(この場合では妻2分の1)と子(この場合では長男と次男)です。

子が全員相続を放棄した場合には、次の候補である親が相続人になり、親が既に亡くなっている場合には最後の候補である兄弟姉妹が相続人となる のです。

この場合には、長男と次男が相続を放棄したことにより、妻と父親の兄弟が相続人となるのです(父親の親はすでに亡くなっています)。

父の兄弟は自分たちが相続人になったことを知ったとたんに遺産分割を要求してきました。

結局、父の兄弟の法定相続分の2000万円を生命保険金からまかなう羽目になってしまいました。

母親のためにわざわざ相続放棄の手続きをとったにも関わらず、全く異なる結果を生じさせてしまいました。

これも専門家に任せずに自分だけで相続放棄ができると判断して行動した結果です。

どんなカタチでも一度は専門家に相談してみると良いと思います。

この記事を書いた司法書士

鈴木 喜勝司法書士事務所センス 代表司法書士
【保有資格】: 司法書士、行政書士
【専門分野】: 相続全般、遺言、生前対策、不動産売買
【経歴】: 2010年度行政書士試験合格、2012年度司法書士試験合格。2012年より相続業務をメインとする事務所と不動産売買をメインとする事務所の2事務所に勤務し実務経験を積み、2014年に独立開業。独立後は自身の得意とする相続業務をメインとし、相続のスペシャリストとして相談累計件数は1500件を超える。2024年司法書士事務所センス開業10周年、現在に至る。

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